帝國召喚 改訂版


 西暦1941年12月8日。
 一つの国家が、その民族と共に永遠にこの世界から消え去った。
 その名は“帝國”。
 東洋の大国“大清帝国”と列強“ロシア帝国”を立て続けに討ち破った、英米と並ぶ大海軍と数百万の大陸軍を擁する軍事大国。
 戦艦から航空機まで全ての近代兵器を自力で造ることが出来る東洋唯一の、世界でも数少ない先進国。
 そして非白人国家唯一の列強。
 それだけの国家と民族が、その本国ごと突然消え去ったのである。
 これは世界のパワーバランスを……いや、歴史そのものを大きく変えかねない程の大事件だった。
 だが、世界の中心は欧州であり、加えて当時は大戦争の真っ最中でもあった。
 そんな彼等にとり遠い極東の地での出来事など、ましてや“黄色い猿”の国のことなど、知ったことでは無い。
 当初こそ超常現象として新聞を賑わせたが、直ぐに目の前の戦争という名の日常に忙殺され、忘れ去られていく。
 加えてこの頃になると、“帝國”の遺産――植民地等の海外権益――も他の列強諸国によって完全に分割され、その存在は痕跡すら残さずに消滅していた。
 「ならば、無理に思い出す必要も無い」
 誰が言うでもなく、それはいつしか暗黙の了解事項となっていた。
 非白人国家唯一の列強など、彼等にとり決して好ましい存在では無かったのだ。
 以降、“帝國”の話は一種の禁忌となり、その存在は歴史の闇に埋もれていくこととなる。
 世界は“帝國”が無くとも回っていく。たとえその歴史の流れが大きく変わろうとも、だ。

 ――そして帝國もまた、生きる為に活動する。
 たとえその地が元の世界ではなかったとしても。


第一部 ロッシェル事変

「第一章 クノス島攻略戦」
 第01〜05話  第06〜10話  第11〜15話

「間章1 事変前夜」
 第01〜05話  第06〜10話

「第二章」
 第16〜20話  第21〜25話  第26話

「間章2 モエシアの大乱」
現在準備中。

世界
“帝國”海軍編制表(昭和一八年八月)
“帝國”陸軍編制表(昭和一八年八月)
ロッシェル王国軍編制表(昭和一八年八月)


短編
本編では語られなかったエピソードが、1話完結形式で綴られています。

天国に一番近い島
邯鄲の夢
ある王国飛竜騎士の記録
“帝國”の憂鬱――転移初期におけるその危機的状況――
三式中戦車開発秘話


IF編
本編とは違う分岐を辿ったIF世界の物語。

繁栄の光と影




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