293 :1/24:10/11/29 00:09:31 ID:a+c7yv+Z ┌──────────────────────────────────────┐ . .:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.:;:..;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:;..:;:.:;:;:;:;:;:;:;:;:;:. . ,:;:;:;:;:;:;:;:;:.:.:.:.:.. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. .:. ..:.:.:.:.:;:;:;:;:;:;:;:;:. .:;:;:;:;:;:;:.:.:.:.:.:... .. .. . . . . . . .. .. .. .. .. ...:.:.:.:.:.:;:;:;:;:;:;:. .:;:;:;:;:;:.:.:.:.:.:.:... .. .. ...:.:.:.:.:.:.:;:;:;:;:;:. .:;:;:;:;:;:.:.:.:.. .. .. ..:.:.:.:;:;:;:;:;. .:;:;:;:;:.:.:.:... . . . ..:.:.:.:;:;:;:;:. .:;:;:;:;.:.:.:.. . . . ..:.:.:;:;:. :゜ .:;:;:;:;.:.:.:.. . ゚: . ..:.:.:;:;:. .*:゜ ゚・:。 .:;:;:.:.:.. . ..。:*゚ . .:.:;:. ゚・*:。.. : ゚:*. .。 .:. .:。:・ . .. ... . .. ..... .. . . .:*. .:.:::.:..:.... . . . .. ..... .. . ... .. . ただいま召喚中… しばらくお待ちください Now loading... └──────────────────────────────────────┘ 294 :2/24:10/11/29 00:09:47 ID:a+c7yv+Z 結論から言うと――その瞬間に私、入速出やる夫は恋をした。 完全な一目惚れだった。 私を召喚した彼女に目を奪われ、心を奪われ、魂も奪われた。 姿形に惚れた。声に惚れた。立ち振る舞いに惚れた。全てに惚れた。 ______ (⊂二二二⊃)  ̄ ̄ ̄ ̄ ____ /_ノ ' ヽ_\ /(≡) (≡)\ / /// (__人__) /// ヽ .| |r┬-| | __\ `ー'´ /__ /YYYY / _ノ(ξ)、_ \YYYYY\ .|YYYYYY(__/ \__)YYYYYY| ∨ { } ∨ { } { } ヽ | / ヽ | / ∪ ∪ 召喚時に締結された仮契約により、大体の事情――ここは異世界であること、 使い魔として召喚された自分が使役されること――は理解した。 そして、彼女に仕えられる幸運に歓喜した。 召喚され、彼女に出会えた幸運に感動した。 召喚したのが彼女であった幸運に感謝した。 仮に別の人間が私を召喚し、その後で彼女に出会っていたのなら、 私は運命の悪戯を恨み続ける事になっていたのだろうから。 295 :3/24:10/11/29 00:10:13 ID:a+c7yv+Z 後で知ったことだが、本来ならば彼女が召喚の儀式を行う予定など 微塵もなかったのだという。 たまたま、学院講師であるコルベール師がそこを通り掛かった彼女に 召喚をさせてみたところ、私が召喚されたというわけである。 師の思いつきも、彼女の召喚も、私が召喚されることも、全てがただの偶然であり、 異世界からの召喚が成功するなど思ってもいなかったらしい。 ζ / ̄ ̄ ̄ ̄\ / \ /| | | ⌒ ⌒ | ||||||||| (・) (・) | (6-------◯⌒○- | 『彼』の試験を明日に控え、 | 〃 _||||||| | 召喚陣が機能するか試したかったのじゃが、 \ \_/ / 問題なさそうじゃの。 \____/ /⌒ ⌒ヽ どういう形であれ、彼女に召喚され、彼女に仕えることになった幸運に 私は感謝したい。 そういう意味では師は私の恩人と言えよう。 296 :4/24:10/11/29 00:10:50 ID:a+c7yv+Z 契約の口付けを交わした時など、死んでもいいと本気で思えた。 ,"+',x' ;,'∵,'∴,'+,ヽ;','+';,'∵,'∴, ∵,"+',x' ;,'∵,'∴,'+,ヽ;','+';,'∵,'∴, ∵,"+',x' ;,'∵,'∴,'+,ヽ;','+';,'∵,'∴, ∵ :::::::::::::/::::::::::::/::::::::/ :.:.:.:.:.:.::::::::::::::.:.:.:.:.:. ヽく ::::::::::/::::::::::::/::::::::/ ι /'′::::ヽ、 :::::::/::::::::::::/::::::::/ ノ` ::::/::::::::::::;:'::::::::;' <  ̄ `ヽ ( :::::::::::::::;:':::::::::;' ` 、_ ノ ノヽ、 ι ::::::::::::/:{:::::::::{ u 、_ /:::::::}、> :::::::::/::::i:::::::::i ヽ ` /:::::::::::〈 :::::::::::::::::';::::::::'; \ イ |:::::::::::::l ` :::::::::::::::::::';::::::::'; \ <:::/ ハ:::::::::l l :::::::::::::::::::::';:::ト;::'.、 ヽ .イi::|::::::/ /イ:::::::::::l l ::::::::::::::::::::::ヾj ヾ;:'; /::>.---.<:::::::| |:::/ / |::::::::::::! ヽ、______ ,, ,"+',x' ;,'∵,'∴,'+,ヽ;','+';,'∵,'∴, ∵,"+',x' ;,'∵,'∴,'+,ヽ;','+';,'∵,'∴, ∵,"+',x' ;,'∵,'∴,'+,ヽ;','+';,'∵,'∴, ∵ 自分の命はこの方の為に誓おうと、心の底からそう思えた。それが喜びだと感じた。 使い魔云々は関係ない。召喚時の洗脳作用など自分には効いてなどいない。 この想いは私のものだ。彼女に捧げる真摯なる想いだ。 男が惚れた女性に命を投げ打つのは、ごく自然な感情であろう? ____ / \ / \ / \ 入速出やる夫ですお! / (●) (●) \ やる夫とお呼び下さいお! | ///(__人__)/// | 貴女に仕えるこの身の幸運に感謝しますお! \ `⌒´ ,/ / ー‐ \ 私はしあわせだった。 突然異世界に召喚され、使い魔の身に落ちたといってもしあわせだった。 彼女に仕えられる、彼女を支えられる、彼女の所有物で居られる。 それ以上の喜びが世界の何処にあるというのか? 297 :5/24:10/11/29 00:11:18 ID:a+c7yv+Z 彼女の召喚成功を、彼女の乳兄妹であり、彼女の主君である彼が喜ぶ。 彼の名はギーシュ・ド・グラモン・ド・フリースラント。 これらの知識は召喚後の仮契約時に、彼女とのチャンネルが繋がった時点で得たものである。 _,、r'´:::‐、`ヾ‐、`丶、 /:::::l、:{⌒ヾヽ::ト、:ヽ:::::ヽ //!:::i:l:!::ヾ、::::::ヾ::!`ヽ:ヽ:::::ヽ 〃:!:l::::l!:ト、::::liヽ、:::リ:!::i:::ヽ:ヽ::::i i:!::!i::i::::i::!:i:ヾ!:i::::!:、:::!:::l:i:!:ヽヽ:l:! l!::!:!:iト:::!:i:j/代トト、l:ハ::升ト!:l::!:!lj li::l::N{:ヾVヘ「 ̄` lハ ソr‐テハ!:l/ !:l!:ト、l::l{` ! j川/ ヾト辷N! ‐ノ !:l/ Yl:ト、 ヾ==r ノ/ やったじゃないか、ケティ!? iN \. ` ニ′/}' 一年で使い魔を持つ身になるなんて! 丨 丶、 / ノ ̄´"''‐ 、 `¨´¦ 僕はギーシュ、ケティの兄貴みたいなものさ。 . 丿\ /癶V⌒!=| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ケティをよろしくね。 ,.._,、-':、-'`、'´`:.、 /‐''"_, -ヘ| | やる夫、って呼んでいいかい? <:::::::::::::::`:::、::::、:::`ヽ/ ´ _,,厶ヘ ∧- 、 i`:::`:::、::::::::::::::::__/ _,)ヽ___/:::::::::::'::、_ /::::::::::::!:::: ,'´/ /::/ _,ノ >、``、:::、::::::::::::,'::::::::/ / | // ,/ l l / l l l l lヽヽ ヽ ヽ ヽ ヽ!:::`ヽ\ ヽ / /::|// / l l l l/l l l ! l !、ヽ ヽ ヽ l::::::入 ヽ、 l i !::::::::l /| | l ∨| {| l l l l ! l l l、 l ヽ l::´:::::l l \ ! ! l:::::::::l / ! l lヽ、 |. l |l l l ! ! l__」_| l l l l !:::::::::| l ヽ! . l !:::::::::l ! ,八 ヽ| .,斗 弋|、ヽヽヽヽ´!ム アナ ト、 l l !::::::::;! ! l !::::::::∨!' ハ ,レ´ ,.ィテ云`ヽヽヽ.Y 不ネZk.、! lヽ/ l::::::::;' l . ! ,ハ::::::::::`| l! ! :! / 込入,リ `ヽ|/ 込廴片'l / |. ;'::::::/l l l ,ヘ::::::::::| l{ ヽヽ `  ̄  ̄ l/ ! /:;:ィ1. ! / ありがとうございます、ギーシュ様。 メ、 | >:、:|ヽ!ヽ、ヽ\__ / lーセ | ! l / /ヽ } `> ! |.`マ ャ一′ ー‐一 ,.イ ,..イl | l l ヽ,ハ ' / /,/ ,/ ! !ー个:、 ,..< l´ | l ! l l ヽ ヽ こちらこそ、よろしくなのですよ。 /// / ! lヽ. /|`ー - -‐ ´|、 \| | ヽ l l lヽ l\ ヽ やる夫…… // / l l レ ´ ハ、 ,!| `i 、| ヽ.ヽ! | l l ヽ \{ // / / ,! l l l ヽ \ ,/ / l ` ー--- 、!ヽ ヽ_,> // / /// l ! l \ \. / ,/ ! }/ ヽ ヽ / //// ,/ l l ヽ. \/ / / \l / // ,/ ,/ l l \ \/ / ケティ・ド・ギーコ・ド・ラ・ロッタ、それが私が仕える主人の名である。 私は彼女に召喚された幸運を、彼女に出会えた幸運に、彼女に仕えられる幸運に恵まれた。 しかしながら、流石に彼女に想い人がいないという幸運にまでは恵まれなかったようだ 彼女がギーシュ氏を慕い、想いを寄せていることは仮契約時の情報伝達で知っていた。 それでも、私は彼女の使い魔になれた事を喜んだ。 彼女の想いを応援し、支えられればいいと思えたのだ。 結論から言うと――私、入速出やる夫は恋をしたその瞬間に失恋をしていた。 298 :6/24:10/11/29 00:11:43 ID:a+c7yv+Z 女の子らしく、甘いものが好きな彼女に洋菓子を作って献上した。 聞けば、この世界にはシュークリームに類する菓子は存在しないようで、大変喜ばれた。 召喚前に健啖家を気取っていた時期に、菓子の自作に凝ったのが幸いしたと言えよう。 素人の腕前でもレシピを知っているのと知っていないのでは雲泥の差である。 材料もこちらの世界で揃えられないこともない物ばかりで、なんとかなった。 製作に協力してくれた学食の料理長には本当に頭が上がらない。 ┌一´ ̄`ー┐ \_____/ l | , L _」 /⌒ ⌒\ ,ィ^ヽ /( ●) (●)\ { | |/::::::⌒(__人__)⌒:::::\ ヾ__, | |r┬-| | どうですかお? l l \ `ー'´ / /`ヽ__/ >ー ‐-- '´ \ ヽ_ ノ / {>ロ<} _ ノ } l_lヽ/ /o o〈_|__ノ, / /o o ', 〈 /o o | \l________/ ヽ_/ ヽ_/ |ー'| V⌒)  ̄  ̄ -- ‐…‐‐ . _ .. -―´- 、 - ‐`- 、 , ' ´ -、 ヽ / イ / / ヽ ヽ. ', レ / ′ ィ ⌒!ヽ | ⌒ヽ ヽ ト..! (⌒⌒) ∧│ ∧ ハ ハ. l i |:. : :\ \/ /∧ | レ/⌒ \ | ゝ´⌒ヽ i |: V: : :ヽ ': : : Nヽ イ rハ ヽ| rハ V'′ |: :i:l: : : : ', l: : : : :イ ゝ__ ゝ ヒン ヒV / , |: : :l: : : : :! l: : / / ハ///// __’__ //// / / ∧: :' : : : / V { 人l l/ | /イ ハ::V: : / (⌒⌒) V ゝ. | │ ー 'イ , '_ノ /イ \/ ゝ__ \ ゝ ____ノ / / :::::::::: ハ (⌒⌒) r'ーr ⌒- ⌒ヽ r、_ _イイ:::::::::::::::::: i ',. \/ r フ' ⌒ _ iヽ |ー┐__ _ :::::::: i ヽ r ―、 ⌒ __ゝ\ `レ' ´ / ⌒ヽ::: i \ ふんわり甘くて ∧ T´ ゝ _ヽ ノ/7 レ′ |:::::i ヽ 美味しいのです♪ /⌒ヽ / /\ゝ_ゝ_ ,ノ /:/ l/ |:::: i ', l! / / / ノ::: l イ:イ √´ , :::: i ', ゝ-イ / / ∧::ハ ∨ _ノ /:::::::::! l '′∠ .__ / / `' ∧ ∨⌒ヽ /:::::::::: ! l その言葉と、この笑顔で幾多の苦労も報われるというものである。 私は彼女の使い魔になれて、本当にしあわせだという実感を噛み締める。 299 :7/24:10/11/29 00:12:12 ID:a+c7yv+Z 彼女のしあわせが、私のしあわせ。 ならば、彼女にはもっともっとしあわせになって欲しい。そう願った。 私のためではなく、彼女にために。 .. -―‐- 、,、 ‐  ̄ `丶 / / ,/ \ \ 〃/ / ノ ヽ \ ヽ ヽ / / / // l / '´Τ丶' ハ ヽ / / / /⌒l l ハ ト、 | ト、', l / / / /-リ 斗- 、ノ | !::ヽハ レ',{ l | / r'ハヽ. / 'r てヾ / l:::::::ヾ /::∨{ l ト トク V ト -イ/ ハ/::::::::::::} V::::::ハ ト、ゝ´ ′ ` ーイイ i }::::::::::::ハ やる夫、このお菓子は \::V\ 丶. Τ ̄j -=イイ l /:::::::;ィ' 、 まだあるですか? /ヾ / / l>`‐r ´ ノ| ト、/::/ l ヽ / / / /,.ィ´ {j // / ヾ、 ! \ ギーシュ様にも / / // } {レ′,' ! /⌒V | 、 \ 食べさせてあげたいのです♪ , - ´, - ´ /{ヽレ'ハ / { ヽ. } | 、 ヽ / /´/ ,.イ ト、\ヽ| vヘ ヽ_ ニヽ/ ∧ ト、 \ / / /{ / / _,jヽ`ヾ ヽ ', } r :´ : : : : }ヘ´ ヾ、 \ ヽ レ' / ∧イ / /{ヽ\` j V: : : : : : : : : :\ \ ヽ / / | / ∧ヽ \ }∧ヽ: : : : : : : : : : :`7 ヽ } / / レ' / ヽハ ヽ、 l: :ヽ7二コ l二コ l二/ V / l / / / く \ \ / : : \: : ヽ: : : : : / / /ノ | l{ / / /: : ヽ ヽ/: : : : : :ヽ : : \: : } / ハ | |ヽ./ {、__ / ヽ: : ∧_,/: : : : : : : : 〉: : : :`7 / / ハ 丶! 丶、_ - ´: : : : : : : : V: : : : : : : : /: : : : : ヽ/ / } /´ ̄: : : : : : : : : : : : : : /: : : : : : : : : \: `ー / /` ー-- i | /: : : : : : : : : : :: : : : : : 〃: : : : : : : : : : /: : : : ヽ {、_: : : : :/ / ∩_ 〈〈〈 ヽ 勿論ですお! ____ 〈⊃ } /⌒ ⌒\ | | たっぷりあるから、ギーシュ様にも /( ●) (●)\ ! ! 堪能して貰いますお! / :::::⌒(__人__)⌒:::::\| l | |r┬-| | / ギーシュ様も、シュークリームの虜になって貰いますお! \ ` ー'´ // そして、ケティ様とのお茶を楽しんで貰いますお!! / __ / (___) / さっそく、ギーシュ様をお呼びしてきますお!! 彼女が私の作った菓子を楽しみ、そして、彼との時間を過ごせるのなら、それはとても素晴らしいことだと思える。 彼は彼女と仲が悪いわけではないが、家との距離を置きたがっているのだ。 必然的に、お目付け役の任を担っている彼女とは少し、疎遠になろうとしている嫌いがある。 若さ故の振る舞いだ、私にも理解できる。 しかし、私は彼女の使い魔だ。 彼女が彼に想いを寄せているのなら、彼には彼女に振り向いてもらわねばなるまい。 300 :8/24:10/11/29 00:12:38 ID:a+c7yv+Z 彼はグラモンの次期当主としてではなく、ギーシュという一個人として見て欲しいという葛藤を隠し、 一人で過ごすことが多いようだった。 そして、彼の価値観を理解してくれる人間がいないことを嘆き、悲しみに暮れているように見えた。 私には彼の気持ちも、価値観も少しだが理解できた。 だから、彼に手を差し伸べた。 彼が手を握るか、彼が手を払うか、わからない。 それでも手を差し伸べた。 ___ / \ / \ , , /\ ケティ様が火のドットメイジならば、 / (●) (●) \ その使い魔のやる夫も火の術者のはずですお! | (__人__) | \ ` ⌒ ´ ,/ ならば、使えば術者の腕すら焼き尽くす ノ \ 『邪王炎殺黒龍波』が使える筈ですお!! /´ _i⌒i⌒i⌒i┐ ヽ | l ( lニ/ニ/ニ/ミl やる夫はケティ様が召喚した使い魔ですお! l三三ミヽ ヽ二二二二/ それが最強でない筈がないですお!! ____ , ==-- 、 ドキドキ… _.-_=三ニ≧弐=コ'´ ̄ニ_‐ ._ /,.-ニ‐'´/:::::〃::::∧\`ヽ=ミ、`ヽ、 (『邪王炎殺黒龍波』…… . ,.' /:,イ:::::::/;'::::::/l|:::::;';;;|\ ヽ、\`ヽ、\ なんて格好いいネーミングだ……) / /::::〃::::;';'::l|:::::;' :|l:::l::;;:|:lヾ\ \ ヽ\\.ヽ. ./ /::::〃::::,';'|:::l|::::::::/!l::|:::;:|::lヽ\ヽ、\ヽ\丶ヽ (炎龍を使役するイメージを掴むために ;:/:::::/l:::::/;'!|:::l:l::::::/::ハ|::;:|:::ト、゙、ヽ:::l\ヽ`、ヽ`、::゙、 焚き火に手をかざす特訓をして、 ′ /::l::::/::!l|:::l:::::::;':::::::::l|::::|:;|小.:゙、ヽ:l:ヽ\、ヾ、:l::: l それで火傷しても、ただでは転ばず、 :::::/:::l:::;':::l斗、!::::::l::::;'::::/!:::l斗⌒ト、ヾ、゙、!l::::::!ハ. l:.、:l゙、| 右腕に包帯を巻くことで格好よさを ::::':::::l:::i::zhfr.|:::/:|:::;::::/}l| ::|l゙::/|i=≧_、l|::::l:::::l|:::::|:: l 増幅させている……) :::::::::;|::|l:::| {. l|:/:/l::l::/::ハ:l ::И:八 {i }!ヾ!::/!:::::l::::;l::::l ::::::: l|: !!::|!. y/:/:/l|::::/ |∧::| {′ ⌒ }ハ:l::;:::l::/}:/ (そして、彼は信じている。 :::::::::l|::|!::|:V/l//::::l::/ / ヽ! ///// rリノ:/:::/ ケティを、ケティに召喚された自分を!) ::::::l:::l;::|::|/∠ニイ/ V// :::::::|i;l::|'゙{. / ,.. _ノ (彼、やる夫は自分の信じた道にまっすぐだ…… :::::l| l:| ゙、゙、. r''´ f^Yl それが僕には眩しくて…… ::∥ { ゙、ヽ ^‐-=ユr-' 、{ V 時には視線を逸らしてしまいそうだけど…… | ヽ\ _ノ {、ヽ、l もっと、彼を見ていたい!) ヽ\ / rト 、 ヽ ,.-‐=ニ_、 _ノ .i ヽ \ ' 、 (ケティにだけ、やる夫を独占させたくない!!) . \,イヽ、  ̄ .{ ヽ ヽ.}l \ \ l l .〉 / キュンキュン… 私の思いが彼に通じたのか、彼は私に好感を持ってくれたようだ。 くだらない、他愛のない掛け合いでも、彼が楽しんでくれているようなので私もそれに応じる。 ケティ様に仕える私と彼が接する時間が増えれば、必然的に彼とケティ様が接する時間も増えるのである。 301 :9/24:10/11/29 00:13:03 ID:a+c7yv+Z 時には議論が白熱し、身振り手振りを交えた大熱演になることもある。 そうして、ケティ様に窘められたのは一度や二度ではない。 ヽ:::_:::::::::::::::::!.i/i:. :.:. ...:::::::t:: i::::::::::: ¨ '' ‐-li:l:ii:::.:..:;;: - 、::ヽ,ii:::::;::__: :ヽ i::ll:li:i:./;;. -- :\ji::i´ ニニヽ ヽlli:l::i;r´ ;-=ニラ :ヾ:i:i::i ,"''""'ヽ、 、i:lレiク!:. ;;. , :.:.,.,..ヽii:ii:lil , :. ヽ ::.\ ,i:ll::i:.ヘ '"' ーノ;、;:ヽil:l:l:Vi, ヽ ,r / ..::...ヽ ,i:l:l\礼|:lo,ァヽ、ャoラi|li/::レ ,r/::/::/ |:::::i :l ヽ:!ヽ:ヽi下i,:イiヽi::レ/:::i/i:i::ァ ゝ,/ ,f :/:,r i、i \ヽ:\i::::iヽヽ::i::/:ィ:/// ` ーヽ、_/ノ ヾュ_:ヽi::iヽi:Viレ:,::::/´ '''‐ニ≧::人ゝ=-‐ ____ / \_ / / \( ;:;:;) /( ;:;:;:;:;ノ (=) \ (;:;:;:;;;:; (__人__) .:::::) / || ` ⌒||| ,/ / / |\/ / /l |  ̄ / /__| \/ / | | ヽ、//////) / | | /  ̄ ̄ / | | __/ )--- ヽ ヽ つ ⊂---― 'ー----' /:::::::::::/ / l ヽ ! l. ハ ハ:::::::::::::ヽ. /:::::::::::::::,' { l ! ', .l ! i i::::::::::::::::ハ ,':::::::::::::::::i ヽ、 ', ! i l,' ハ l. l l:::::::::::::::::::', ,':::::::::::::::::::l i \ ヘ` 、ヽ. l. l /! / Ⅵ_ ./ !:::::::::::::::::::l !::::::::::::::::::/\ ヘ ̄ >ミ 、ヽ.iヽ、li //z≠≦、! /i ,'ヽ::::::::::::::::l l:::::::::::::::∧ `丶、ヘ/ l: : :*: :iヾトィ}l /´イ : *: : }!イ/ / .l ',::::::::::::,' . ',::::::::::::{ ', .ヘ` `ー-- ' }/ 、_ `ー-- ' / / / !::::::::/ \:::::::', ヽヽ. \  ̄ ̄ "´ ´ `  ̄ ̄イ / ,イ ,'::::::/ . \:.:', iヽ`i 、 `ーミ.=- i ∠... - '' / ! ,'::/ ヾ、 ,' ヘヽヽ ̄ iヽ、 ‐-‐ / 〃 /、 l ' ´ /〈´:.i、 ヾ、 l l` ‐ - ... __ ... ィ ´:./ム-'' ./ ハ l / ',:.:ヽヽ l l l:.:.:.:.l /:.:.:/ , ' ヽ.ヽ、 / 〉:.:.:.ヾ l ', ヽ:.:.ヘ /:.:.:/ / \\ . / .ハ:.:.:.:.:.:`! ', ヽ/:.:.:/ / / _ .. ヽ,ヽ、 . / i:.:.:.:.:.:.`ー!. ヽ `/ / 〃 , - '' ´ i `i `ー それすらも、私には楽しかったし、幸福感すら覚えた。 ケティ様がギーシュ氏にそんな態度を取れるまでに、二人の距離が縮まったのだと実感できたのだから。 私が道化を演じたのも、まんざら無駄ではなかったようだ。 そうして、彼女に窘められることすら楽しんだし、喜んだ。 あの瞬間はグラモン次期当主の世話役の彼女ではなく、私の主人の彼女だったのだから。 302 :10/24:10/11/29 00:13:30 ID:a+c7yv+Z ケティ様にお仕えすることが私のしあわせ。 その気持ちに偽りなどありはしない。 しかし、私が使い魔の仮面を被って、本心を隠していることは否定はできない。 だが、ケティ様の笑顔が全てに優先されるということだけは変わらない。 :::::; ;:, ;:;';:::::::::::::::::::;' ,::::::::::::::::::::;' ,' , ' ,..'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::; ' ::::::, ';' ;:, ';::::::::::::::;' ,':::::::::::::::::::;' ,' ,' ,.':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::; ' , ' :::::::', , ';' ;::::::::: : ': ´ ̄ ̄ ̄: :`ー- 、;' ,.':::::::::::::::::::::::::::::::::; ' , ' ,.... 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/.:.:.: l.:.:.:ゝ i_r、 r'{二' V'].:.:.:.:.:.:.l 今のままじゃ、ずっと『使い魔』のままだよ? i.:.:.:.:. l.:.:.:}_ヽ_ /´ 二ヽニ}`{ーl ヽr--、::::::l l.:.:.:.:.:.:l:/.:.:77 ー } |.:.ヽ_| j:.:.:.:.}.:.:.:l ケティ様をお慕いする私の見抜いたのか、『視た』のか、悪魔――というには幼いか――が誘惑してきた。 だが、私はそれを一蹴する。 その結果の元にケティ様を手に入れたとしても、ケティ様は笑ってなどいない。 ケティ様がしあわせそうに、嬉しそうに、楽しそうに笑っていなければ意味などないのだ。 極論を言えば、私が死ぬことでケティ様がお喜びなるのなら、私は喜んで首を刎ねよう。 結果は求めない、経過も求めない、目的も選ばない、手段も選ばない、ただ、ケティ様のしあわせを追及する。 それがケティ様の使い魔である私の在り様なのだ。 まあ、後から考えれば、あの小悪魔はあれはあれで……自分を押し殺している私を気遣っていたのかもしれないと思える。 303 :11/24:10/11/29 00:14:05 ID:a+c7yv+Z 不遜にも学院に忍び込んだ盗賊フーケのゴーレムは焼き尽くして焦土にした。 アルビオンへの密使任務でもレコンキスタを文字通り、煙に巻いてその隙に女王陛下を逃がすのに成功した。 タルブに降下してきたレコンキスタの尖兵は消毒して、焼き払った。 ___ (巛ミ彡ミ彡ミ彡ミ彡ミ彡)ミ彡ミ彡) / \ (巛ミ彡ミ彡ミ彡ミ彡ミ彡)ミ彡ミ彡) / \ , , /\ ,,从.ノ巛ミ 彡ミ彡)ミ彡ミ彡ミ彡) / (●) (●) \ 人ノ゙ ⌒ヽ 彡ミ彡)ミ彡彡) | (__人__) | ,,..、;;:~''"゙゙ ) 从 ミ彡ミ彡)ミ彡) \ `_⌒_´__/∩ ,;:''"゙゙'':.,_,,..、;;:~-:''"゙⌒゙ 彡 ,, ⌒ヽ 彡" . /´ ⌒` ̄ ̄, ̄ ̄γ//`二つ :;: '"゙ ミ彡)彡'" | _゙__、ゝL{ミl ``゙⌒`゙"''~-、:;;,_ ) 彡,,ノ彡~''" | イ´ ̄ ト、__ノ ゙⌒`゙"''~-、,, ,,彡⌒''~''" . | | "⌒''~" ケティ様の使い魔として、炎を使役するのは私に合っていた様だ。 使い魔から主人への契約のチャンネルが繋がっているようで、私からのフィードバックで ケティ様の炎の魔法がドットからラインに上がったことは、心が荒みそうな戦いの中で喜ばしかった。 ギーシュ氏がトリステインの意向を無視できず、危険な任務を負わされるのをケティ様は由とはしなかった。 しかし、グラモン次期当主として、トリステインに恩を売っておく意図を理解しているので、反対はできなかった。 だから、せめてギーシュ氏の背中を守ろうと、ケティ様は危険な任務に同行していた。 無論、私はケティ様に怪我を負わせぬよう、ギーシュ氏の視に何かがあってケティ様の笑顔が損なわれぬよう、 身を盾にしてでもお二人を守る覚悟で、任務に挑んでいた。 304 :12/24:10/11/29 00:14:27 ID:a+c7yv+Z そのような心意気で挑んだのだから、あの撤退戦で私が殿を名乗り出たのはごく自然なことだった。 私と共に戦おうとするギーシュ氏を気絶させ、ケティ様にはギーシュ氏の身の安全のために退却を強いた。 『お二人の結婚式に出れないのが残念ですお』 私の最後の言葉に頬を朱に染めるケティ様の初心さがどうしようもなく、可愛かった。 愛しかった。眩しかった。嬉しかった。しあわせだった。楽しかった。満足だった。 なんと私はしあわせだったのだろうか。 ケティ様と契約し、身の回りのことをお世話できて、その笑顔を見守れて、最後に笑って逝けるのだ。 やはり、ケティ様は私の最高の主人であった。 だから、その恩に応えるべく、最後に使い魔の矜持をお見せしよう。 恋焦がれるこの胸の想いを糧に、敵を、戦場を、我が身すらも燃やし尽くしてやろう。 そう不適に笑った私は敵陣に向かって駆けた。 濁流の如き、7万の敵兵。 我が炎で行く手を阻んで見せようぞ、ケティ様の元には一人たりとも抜かせぬぞ。 ──────────.,.,:'' '';::.,,..,───────────- ''';;';';;'';;;,., ザッ ''';;';'';';''';;'';;;,., ザッ ザッ ;;''';;';'';';';;;'';;'';;; ;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;; ,.~^,.~^,.~^..~^ ザッ ⌒vv⌒yv⌒vv⌒yv⌒vv、 , '´ ̄`ヽ -^, '´ ̄`ヽ -^, '´ ̄`ヽ ザッ ,‐ '´ ̄`ヽ ,‐ '´ ̄`ヽ ,‐ '´ ̄`ヽ ,‐ '´ ̄`ヽ ,‐ '´ ̄ ̄`ヽ__‐ '´ ̄ ̄`ヽ _‐ '´ ̄ ̄`ヽ / ̄ ̄ ̄\ /::::::::: \ /:::::::::::: \ |:::::::::::::: | \::::::::: / ,,.. .-‐'::::::::::: \ <" ,__,,_::::::::::: :: ::::::\ ヽヾ丿 |::::::::: :: i:::::::ヽ ヽ& i::::::::: :: , -ii、ヽ、 ) |::::::: へ. i:::::::::::::i^゙''" |::::: / \|:::::::::::::| |:::: / |::::::::::::| |:::: / `--- ´ 最後に――ケティ様が私の名を叫んだのが聞こえたような気がしたが、私は振り返らずに駆け抜けた。 305 :13/24:10/11/29 00:14:50 ID:a+c7yv+Z 雨が降っていた。 気がつくと私は泥の中に横たわって、空より降り落ちる雨粒を見上げていた。 私は死に損なったのだろうか? 周りに生きた人間の気配はない。 | |! ! | !| !l |! !| ! !l|! !| ! | !l | !l |! |!l| ! | |! ! | !| !l |! !| ! !l|! !| ! ! | !| ! l |! |! ! | ! |!l ||! ! | !| !l |! |! l| ! |!l ||! ! | !| !l |! |! l| ! |!l | ! ! | ! |!l |! _/__/_ // !l |! ! | ! |!l |! !| | !|!l |! !| !! ! | ! |!l |!l |! !| !| |! ! | !| / / ー――――――――――― |! ! | !| !l |! !l |! !| !| !l |! / ! |!l |! !| l | !| ! !l|! !| ! | !l | !l!l |! !| !| !l |! ! | ! |!l |! !| |! ! | !| !l |! !| ! !l|! !| ! | !l | !l |! |!l| ! | |! ! | !| !l |! !| ! !l|! !| !l |! !| !| !l |! ! | ! |!l |! !| l | !| ! !l|! !| ! | !l | !l!l |! !| !| !l |! ! | ! |!l |! !| あの大群との戦いで、私は何人も、何十人も、何百人も、何千人も、何万人も焼いたはずだ。 敢えて即死させずに、重度の火傷に留めさせ、救護に手間を取らせることで敵の足を止めた。 トリステインに手を出すと火傷する――その恐怖を植えつけられた人間が多ければ多いほど、 今後のトリステイン、ひいてはケティ様とギーシュ氏の平穏には都合がいいだろう。 慣れぬ手加減をしたせいだろうか、腹に刺さった鏃や槍の穂先に雨が染みる。 傷口は即座に焼いて塞いだから、出血多量で死ぬこともないだろうが、考えれば殿の任務を 達成した時点で生きている必要もなかったのだ。 我ながら詰めが甘い。 私の燃やした炎の上昇気流が生み出した雨雲が雨を落とし、戦場の穢れを洗い流している。 ___ /メ":゙;,.,;.メ\ /メ ;;.;#;;メ;;.;#;;.\ /;..;;(;;;;;);;.;;;(ー);..;;\ |;;.;メ;;.;メ(__人__);.;;;.;メ;;.;メ| \メ#;;;;.メ メ; ;;メ;;. ;;./ /メ;; メ; ;;.メ; ;;;; ;メ.\ この雨でケティ様のお体が冷えなければいいが――私はそんなことを考えながら、静かに目を閉じた。 306 :14/24:10/11/29 00:15:13 ID:a+c7yv+Z ふと、雨が止んだ。 しかし、雨音は止んでいない。 いや、あたたかい雨が降った。 億劫だったが、疑問を残したまま逝くのも歯痒いので、私は目を開けた。 ___ __∠ ̄ ̄ `ヽ、 ,r::::::::::::::::::)r'"" , ヽ_ :::::::::::::::/ / / \ \ :::::::::/ / / \ \ ::::::/ .i / ./ 、 .l ヽ r.ヲ | , ll / l l ;,l / .l /V´∨∨.l | .l / ヽ、 l l /,:':::i~~`;, ̄ l l ,、/ ,イ l l よかったのです、やる夫…… \ li ir'" ノ! lノ //l / ,/ l ,、ゝ `//'''" ;イ ̄ヽ//. / l. 生きていてくれたのですね……あぅあぅ。 ,/ ヽ .// i´ .,,ソ .`ムイ / / .∨_\ i´ `i、 .`//'" ∠__ノ__ノ / \.`ー'" `ー、__ i´ `i < ,イ::::::::ノ \ \r`ー、___` .`ー'.,イ  ̄l: / \,r'" ̄\ヽ__r-〒、/l/ / [] □ >Y'" ̄ ̄\ ケティ様が泣いていた。 雨の中、傘も差さずに、雨に打たれながら泣いていた。 数刻まで戦場だった危険な地で、周りに兵もつけずに一人、ケティ様が泣いていた。 307 :15/24:10/11/29 00:15:35 ID:a+c7yv+Z このまま死んでは心やさしいケティ様が、危険な戦場に足止めされてしまう。 私は力を振り絞って身体を起こす。 :/ ̄ ̄ ̄\: :/ヽ#;;;、/┳ .\: :/(○) (;;;;) ┳ \: :|┳ (__人__) #;;;;.┃ |: :\;;;;; `⌒´ ;;;; /: ケティ様、ここは危険ですお。 :i ⌒\: やる夫のことなど放っておいて、 :|┳ i' #;; ゝ、_#;; \: 今すぐ自陣にお退きくださいですお! :|┃;; | ┳;;; _/ /: :/|;;;; |ー‐-、/ く (´ヽ: :{_ !、_,l | `¨ |: :)ソ(___j)──┤ |: :ゝ-i──i-´: :\_/: _ , - ''  ̄ `´¨ヽ / ヘ i ヘ , イ/ !ヽ、 ./::〈 / l ',:::ハ 〈::::::; ヘ ! ,イ !::::! 駄目なのです! . \l ヽ.ト、 _lゝ ,ィ__..ノ/イ リ;ノ やる夫も一緒に逃げるのです!! _, ヘ ミ >` \! < 彡 イ> . > ヽ ゝ////, へ、///,ィ´ ! 使い魔のやる夫に危険なことをさせて、 ∠., {ニ=‐' ヾ≦ェ}、 `> 主人の私だけが逃げるなんてできないのです!! ムィ ハ ヾ / 、 ヽ. レヘ 〉 _」 ハ`ー` ̄ ,V:ヘ , ベ´ハ 人 ノ:.:.:.:.:\./:.:.:.:.`ー:.':.:.ノ、 極論を言えば、ケティ様のその甘さは主人失格だ。 使い魔は所詮使い魔、主人が生き延びるための壁として、消耗品として使い捨てることを 厭ってはならない。 それでは使い魔の決死の覚悟が無駄になるではないか。 それでも、私はケティ様のお心遣いが嬉しかった。 ケティ様に涙を流させてしまったことが申し訳なかった。 ケティ様が主人でよかったと歓喜に震えた。 私はケティ様に肩を借り、足を引き摺って陣へと下がった。 雨はいつしか止んでいた。 308 :16/24:10/11/29 00:15:58 ID:a+c7yv+Z 後日、ケティ様はたおやかに微笑まれ、私に一つの命令を下された。 / | // ,/ l l / l l l l lヽヽ ヽ ヽ ヽ ヽ!:::`ヽ\ ヽ / /::|// / l l l l/l l l ! l !、ヽ ヽ ヽ l::::::入 ヽ、 l i !::::::::l /| | l ∨| {| l l l l ! l l l、 l ヽ l::´:::::l l \ ! ! l:::::::::l / ! l lヽ、 |. l |l l l ! ! l__」_| l l l l !:::::::::| l ヽ! . l !:::::::::l ! ,八 ヽ| .,斗 弋|、ヽヽヽヽ´!ム アナ ト、 l l !::::::::;! ! l !::::::::∨!' ハ ,レ´ ,.ィテ云`ヽヽヽ.Y 不ネZk.、! lヽ/ l::::::::;' l . ! ,ハ::::::::::`| l! ! :! / 込入,リ `ヽ|/ 込廴片'l / |. ;'::::::/l l l ,ヘ::::::::::| l{ ヽヽ `  ̄  ̄ l/ ! /:;:ィ1. ! / メ、 | >:、:|ヽ!ヽ、ヽ\__ / lーセ | ! l / /ヽ } `> ! |.`マ ャ一′ ー‐一 ,.イ ,..イl | l l ヽ,ハ ' / /,/ ,/ ! !ー个:、 ,..< l´ | l ! l l ヽ ヽ /// / ! lヽ. /|`ー - -‐ ´|、 \| | ヽ l l lヽ l\ ヽ // / l l レ ´ ハ、 ,!| `i 、| ヽ.ヽ! | l l ヽ \{ // / / ,! l l l ヽ \ ,/ / l ` ー--- 、!ヽ ヽ_,> // / /// l ! l \ \. / ,/ ! }/ ヽ ヽ / //// ,/ l l ヽ. \/ / / \l / // ,/ ,/ l l \ \/ / 『私より先に死んだら駄目なのですよ、やる夫』 『もし、約束を破ったら――泣いちゃうのですよ』 こうして、私には死ぬ自由すら奪われた。 命は私のとってカードの一枚にすら過ぎない。 効果的に死ねるなら、それでもいいと思っていた。 だが、それを封じられた。 私は死ぬまでケティ様の使い魔で在れるのだ。 それがどうしようもなく嬉しくて仕方なかった。 309 :17/24:10/11/29 00:16:25 ID:a+c7yv+Z 【60年後、グラモン家本城、レーワルデン城】 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :_: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :」冖、: : : : : :.「 ̄ ̄|iiik;; : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/ ̄t_: : : : : : :_/ iiiiii,:__:__:__」 t_」 「iiiiiiiii : : : : . : : : : : : : : : : : : : : |==iiiii. : : : : : : | iiiiiiiiコ |ii iiii iii |iiiiiiiiiii;.: : : : : : : : : : : : : :「 ヨ |iii!-;_: : : :r'´r、 ii| H レ'= ニ!! iiiiiiiiiiiii; : : . . . . . . . . . . 」ヲ|ii |ii H .土℡‐┘ ロ rj i=!!==!!:::: ::ii::::::iiiiiiiiiii1.. . . . . . . . . ハ .j .ョ ヨ iiiii .=!! コ ト-イ Hii  ̄ [] [] []l ii:::;;;iiiiiiiiiii ('''' . . . . . . .| ソニ !H | t t t ?W|円!! !. ロ :::,!!!''''ヽ、( . . .,=、」 L!叩凵! ト=≠ ii ョ 且 旦 =ョr'⌒´`y'´...::::::::::::: .. . / レ= ´ ロ || ̄  ̄~ i! ii ii::::ゞ;;;;;;:::::.. .:;;;;;;;;;;;;;;; ) | ?V t !!...|||」i」 | L! l}. l} [] [] i! ii ii::(;;;;::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; `; 」フ '., i ii |||||:┌┐ r‐┐ ,=、ri :┌i 「|「|:::ii::i::::iiゞ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ( (::::) / i !! ~:: ̄::└┘ ヒニ. L.l.!! : =___ ヒ.ニ:::ii:::::::ヽ:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:: ::::::::~::),.:、 .........::::{ l´ r' iii に _ =='' ¨´  ̄  ̄ !i´!i 「l「l ||||::::||||::iiii::`;;;;;;;; :;:;:;:;:;:;:;::::::'´::::.: :.: .].-‐ ¨..~ . ̄┌┐ii ii |||| l」l」 !! .!! ~ ~ . ̄  ̄ ::::::::::::::: ;:;:;:;:;:::::::::::´~ ~r'´::ii .!! || └┘'' '' _._. . .,,, ,,,. ri ri. 「l「l 「|「|::::|||:::::::::iiiiiiiiiii ~~~~´´ `´`'' ' .ソ _ ,,,, iiii riri |||| .|||||| |.|.l」. .l」L!.└'''':::::三三三!!!!!! フ'´ii .|」 卩 .:'!! _ l」レ !!-‐ ヒニ~ ´ ̄  ̄ ri ri ii::ii:::::!!!:!!:!!!iiiiiiii ヲ三_ =-‐_._ ´ ̄.=i= ri ri iii iii ||| ||| .l」...l」..:ii::ii:::::'''ii''iiiiiiiiiiiiii 去年に夫を亡くし、それから床に伏せていた彼女がそろそろ逝こうとしていた。 子に囲まれ、孫に囲まれ、曾孫に囲まれ、彼女はしあわせそうだった。 彼女にとって死は恐怖ではない。 先に逝った夫に会うための通過儀礼にしか過ぎないのだ。 子供たちもそれを知っているのであろう、表情に悲観の蔭りはなく、笑顔で送ろうとしている。 , -‐―‐-、__ / 、 `ヽ、 / / / / ヽ丶 \/ l / _j___{___ム_>=イ | |'´! -‐‐ ‐- { ! ! みぃ。 | l | r┐ ル| | 御婆様、御爺様によろしくなのです。 | l |トィ⌒v⌒1′| | | l | ∧. ∧. f ハ. l | | | l:ハ| |/_| レ' j│! | l / V〈_/ ,イ.j八 去年の彼の死に際もそうだったが、辛気臭くないのはありがたい。 人の死に目というのは何度見ても慣れないものだし、心残りがあるのは居た堪れないものだ。 こうして笑って逝けるという事は本当に素晴らしいことだと思う。 310 :18/24:10/11/29 00:16:46 ID:a+c7yv+Z 一人一人に別れの言葉を残したの彼女が、最後に私の名を呼んだ。 最後は使い魔の私ではなく、子を呼んでやるべきではないかとも思ったが、逆を考えると いつ逝くか解らないから、最後に回したとも考えられる。 なにはともあれ、今は時間が惜しい。 私は彼女の傍に寄った。 ..:: / / \.::.:\ ::. ..:: // / / ヽ ヽ.::.::ヽ ::.. ..:: /.::.::′ ′ / / / ', ヽ l l l.::.::.::.ヽ :: .:: /.::.::.:.| l l ∧ l 、 || l |.::.::.:< :: :: |.::.::.::.:| | lヽ {_ム- ( ( | }ハ┤|_ | |.::.::.::.::| :: :: |.::.::.::.:| | | )ノ Vハ\ ヽ ノノ ノノノ )7メ、| |.::.::.::.::| :: :: |.::.::.::.:...、 |\イ ィ爪抔不 \ ( 不孑丐ミx ハ ノ.::.::.::.:.| :: .:: 、:.::.::.:.::ヽ /l | L :::::::::」 ) ノ L ::::::::」 }/ | /.::.::.::.::.ノ :: .:: \.::.::.::.:l∨{ ( / l| /.::.::.::/ :: :: |\.::.:| 人 \ """ : """ / ノ|/|.::.:/| ::: :: l \| >---r- 、 , -r-< ノ j/ | :: .:: ノ / ノl \  ̄ / l | :: ..:: / / / ,' ! > __ 个 、 l l l 八 ::.. ..:: / / / | _ノ /( )| \l l \ ::.. :: / 「 {..:..\. // }\ 、 ヽ :: / 7 八 ヽ ..:..:\ /.:./ ′ 丶 ヽ / / / / ', \..:..:\/.:..:./ / 丶 \ / / / / / 、 \/..:..:/ / \ / / / / ヽ \/ / ヽ 『長い間、ありがとう、やる夫』 その言葉はもう声にはならなかったが、私には届いた。 礼を言うのは私のほうだ。 この60年もの間、私は本当にしあわせだった。 貴女に仕えられて、生きていて、本当によかった。 あの時死んでいたら、こうして貴女を看取れなかったのだから。 あの時死んでいたら、こうして貴女に見蕩れられなかったのだから。 貴女は老いてもなお、美しい。 一目惚れしたあの時から、そして今もまた惚れ直した。 311 :19/24:10/11/29 00:17:14 ID:a+c7yv+Z そうして、彼女は逝った。 向こうでの彼との再会を待ち侘びていたのだろう。 穏やかな顔で逝った。 今頃は待ち侘びて出迎えに来た彼と会っている頃だろうか? 子達は静かに彼女を送る。 泣いて悲しむことは彼女が望んでいないことを知っているからだ。 _..................._ _.::::::::::::::::::::::::::::::::::`丶、 /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ ,.::/.::_ 、 .:::::ハ::::::::::::::::::::::::::::::::: ヘ /.://.:::::\/::::`─== '"´\|:::ハ /.:::´::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ |::::::::::::::::::::::|l::::::::|l:::::::::|::、::::::::::::::::::::::l:〉 ゝ、:::::_::::::川::::::|:ト.\::::l_lム__:::::::::::::ノ{ やる夫、長きに渡って祖母に仕えてくれたことを j::::::::::丁イr:::T ` \ ̄}f.。::マ:::::丁:::l ありがたく思います。 ,::::::::::::::|代t_:ハ 辷x7イ::::::!:::::! l:::i::::::::::|ヽ. ¨,,, , ,,,¨ /!::::::|::::::! しかし、祖母も逝きました。 |::|l::::::::::!:::l`:. _ - /.::l:::::::!:::::::. |::||:::::::::|::::i::::::::> -- イ 、::::イ:::::::|:::::::::. 貴方はもう祖母の使い魔ではなく、 |::lイ::::::::|_:>'′ヘ.'. // \:::::::|:::::::::::. 一人の人間として自由に生きてください。 〉::::::l::::::l l、 ヘ .// .イ:::::::l::::::::::::::.、 ,:::::::::|l::::::l '. V / l::::::|:!、:::::::::::::::.、 ……やる夫? l:::ハ:f|::::::l '. / / l:::::::|:|. '.::::::::::::::、\ やる夫! やる夫っ!? l:/ .ハ! 、:::::l ∨ / l::::::::j:| l::::::::::::::::\ヽ 私が死ねば、彼女が悲しむから――私は死ねなくなった。 そうして、一人の使い魔として生きてきた。 独り身だったのは、彼女以外を愛せなかったというのもあるし、 彼女に仕えるための時間を割くのが惜しかったというのもある。 ________ 〈<三三三三三三三>〉 || ___ .|| || / \ || ||/ .\|| / ー ー \ | (ー) (ー) | \ (__人__) イ /´ ̄ .ィヽ| 〈  ̄ ‐- 、 i .:` ーi‐ -、_ ヽ | l || ヽ.て 〉 ..| l __/´ ヽ /⌒::| \_ ||三l |ノ-‐-‐-| |`ー´||  ̄|.ヽ _,l- 、 ̄ ̄| .|''|''''|" | |ヽl´ | 〉 〈..| | | | `-‐´ ...ヽ__ソ | |  ̄ . ̄ だけど、彼女は逝った。 だから、私もそろそろ逝こう。 無理して行き永らえたから、彼女の子等に礼を残す気力もなかったのが申し訳ない。 彼女に出会えて、彼女の幸せを見守り、彼女を支えられたのは本当にしあわせだった。 ただ、異世界の存在である私が逝く先は、この世界の彼女と違うだろうから、それだけが残念でならない。 願わくば――いつか、どこかで、召喚されてでもいいから、また彼女と会えますようn 312 :20/24:10/11/29 00:17:38 ID:a+c7yv+Z ・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・ … ─ ── ─── ────────── ─── ── ─… …… … ──────── … ……  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 313 :21/24:10/11/29 00:17:59 ID:a+c7yv+Z 【1987、日本】 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ ,/ ヽ / ./\ ヽ r ''´ ~`ー、 //\\ ヽ r´ ミ>、_____// \\__ヽ .ぃ ミミΣ. // l ̄l ̄l \\ | <;:: ミミミシ. // l_l_l \\ `wv,i;、vi;w'´ // \\ |;;!;;li;;r'.  ̄ | |  ̄  ̄l ̄ ̄l ̄ ̄l ̄ ̄l ̄ ̄l| | .[llllllllllllエllllllllllll] |.|| ̄ ̄l ̄  ̄ ̄l ̄ ̄l ̄ ̄l ̄ ̄| ̄|| | | ̄ ̄ l  ̄ ̄| .|.|| ̄l ̄ ̄l  ̄l ̄ ̄l ̄ ̄l ̄ ̄「 ゙|_||_,,| | l | ,|」|l ̄ ̄l ̄ < ピンポーン l ̄ ̄l ̄ ̄l ̄ ̄l ̄ ̄l ̄| | | l | ,| .! ̄l ̄ ̄l  ̄l ̄ ̄l ̄ ̄l ̄ ̄l ̄ ̄l| |_,,|___l___|__,| .!l ̄ ̄l ̄ l ̄ ̄l ̄ ̄l ̄ ̄l ̄ ̄l ̄| | ̄l ̄ ̄l ミ||\ ||:::: \ .____||:::::::::::\ || ||:::::::::::::::| || ||:::::::::::::::| || ||:::::::::::::::| || / ̄ ̄||:::::::::::::::| /― ― ||:::::::::::::::| どうしたんだお、 / (●) (●||:::::::::::::::| なのはネーチャン? | (_人_) ||:::::::::::::::| \ ___||:::::::::::::::| ガチャ ||ゝ,.___)::::::::::::::| || \ i、._)::::::::::::::| || \||:::::::::::::::| || ||:::::::::::::::| ' ̄ ̄ ̄ ̄||:::::::::::/ ||:::: / ||/ |\ ___ __ | \∠ _:. :. :. \ / / | >:':.  ̄ ̄:.ヽ、:. :ヽ. / / j/:. :._:. :.--:. 、:. :. ヽ:. :.ー:. :.‐:.- 、 / / /:., .: ¨:. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. : \ / / / /:/ :. :. /:. /:. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :. :.ヽ j / / j〃 / :./:. :. /:/:. /:. :. :. :. :. :. :. :. :. :ヾム.≦ _ l :. : , ' :. /:. :. . /. ./. ./.. ..j i ヽヽ : : マj- _:. :. \ /| :. :. / :. :/:{:. ; 斗:.十-j:、:. ハ:. , r‐-:.、!:.',:. :, :. } \ ヽ:. :. \ /:. :.|:. :. :/l:. :. :,':. l:/ :/l: /l:. ∧:..l ヽ: l \::.iヽ}:. :.',: lヽ \. \:. :. \ /: .:.:.:.∧:. :.l ハ:. :.lヽ:jl:. :.l l/ .j:/_ ヽj ヽ!__ ',l:. l:. :. l:.j ヽ ヽ \:. :. ヽ /:. :. :./ ヽ:.j |.ム:. |,:. :.>、:j_r==ミ z==.、j:./:. :.//\ l ',:. :. :.', {:. :. :./ レヘ:.!ヽ/: ハ´ wwx xww ヽ/:. :〃 \ | . l:. :. : :l .j:. :. :.l `j l:. :i:ハ _' _ ∠: イl \j j:. :.:.:.:.| l:. :. ハ |:. l:小、 l 〉 /:. // /:. :. :. :l ヽ:. :. ヽ |:. l: |. 丶、 ヽ._ ノ イ:. ,:./ _/:. :. :. :/ \:_:, ゝ ヽ l: |__ェ=i> _-_ <i=/:. :/  ̄フ:. :. :./ ヽj  ̄ ̄ ̄  ̄ ¨/:./7 ∠ - ィ7.ゝ- 、 z― ,〃=く あ、やる夫君! /// ヽ二ヽ z― 、// _ ヽ 私たちのお向かいに新しい人が引っ越してきたの! ,r≠ ┴'、 / 〈∠, / ¨ マヽ 紹介するの! お友達になるの!! 314 :22/24:10/11/29 00:18:18 ID:a+c7yv+Z __ _,. ' ´ ` 丶 / / ヽ 、 ヽ、 // i ヽ、ヽ ヽ、 ヽ. l/ | l、 i ト、ヽ. \ lヽ. ! / 卜、 \ l l l \ ヽ、i l i l i l lヽ、ヽ、!j l ヽ.__`_‐ 二ニ=- l 夜神 月だ。 !l ! ヽ ヽ、\丶、`ニ=‐、'´ヽ、 l | i l よろしくな。 |ヽ.ヽ、l\ ヽ、ヽ._l`ヽ、.1´ ̄l l / /! / l ト、ヽ| r弌メ、 \_ゝ,ィチ7 |/ // / Vヽ.ヽj `ー‐' ゝ-'′レ'/ / \ト、 ___ ノ'´ノ Vヽ、. __ `‐‐'__. -‐'´リ′ >゙フ ̄〃ヽ.`^′ __ //\_/il.:.:.:i ( _)//!| l| !| !| l.:.:.:l 「:.:.ヽl!| l| l !| l| l:.:.:.:! ヽ--ィ!| i| !| !| i l,ィ‐┤ l_j_l_lj_|_!_i_l_」ー'' |::`‐-┬‐:::::l !:::::::::l|:::::::::i l__l|___l 'ー‐'´ー‐'′ (ヽ三/) )) __ ( i))) /⌒ ⌒\ \ /( ●) (●)\ ) ./:::::: ⌒(__人__)⌒::::\ やる夫だお! | (⌒)|r┬-| | よろしくだお!! ,┌、-、!.~〈`ー´/ _/ | | | | __ヽ、 / 一緒にファミコンやるお!! レレ'、ノ‐´  ̄〉 | ちょうど、『さんまの名探偵』を買ってきたんだお! `ー---‐一' ̄ 315 :23/24:10/11/29 00:18:35 ID:a+c7yv+Z ____ / \ / ─ ─\ / (●) (●) \ | (__人__) | / ∩ノ ⊃ // ∩ノ ⊃ おや、月の後ろの子は誰だお? ( \ / _ノ \/ _ノ 妹さんかお? .\ “ / . \ “ / \ / /\/ \ \ \ \ \ > > > / / / 、_ |\ ,. ‐:,.=― __ | \ ,. -――`-/:.:./-―‐-...、 /:.:__:.:.:`丶Y|/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.三:_=、、\ . /::/  ̄>/ニ:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.:.:\\ /:.:/ /_,イ:.:ヽ:.:/:.:.:.:.:.:.:.l:.:.l:.:|:ト:.:!:.!:ヽ\:.:\ヽ . |:.:.| l:.:.:.:./:/:./:.:./_|.-|‐N |:ト:|:|.:|!:.:.!:.:.:.Ν . |:.:.| l:.:.:.:|:.|:.:|:.:'/ィ::f下 ,ォイ:.!/|:.:.|l:.:/ . ヽ:.ヽ ヽ:.:|ハ:|:.:| 代ュソ |j|/|:.:|::/lj/ \:\ ヽヽ.トヽ! '' '' ''}'/://:.:| \≦二 ∨|:.:.:| ワ/イ´/:./ ,. ‐<´ ヽ:.| ァ‐_--イ|:.|__|!/'´ 大丈夫だよ? /.: : : : :\ ヽノ: :\ V/ l l|: : : : : : : :`\_{:,': : : ヽl l 見た目は白饅頭だけど、怖くないから。 !:|: : : :ヽ: ヽ|: :`: :〒: : /=l. l l: |: : : : : \:|: : : :イト: /: : : ;l l デモ ホレタラ ダメナノ! l: :|: : : : : : : :\: :L!ll」: : : ;ハ l l: : |: : : : : : : : :〈: : ll:lリ\/、 l l: : : |__ノ「 ̄ ̄ト| /:ll'll \_丿 l: : : : :\_:l リ: /ll ll i´: : : : : : : :.l l / .ll ll __ _,. ' ´ ` 丶 / / ヽ 、 ヽ、 // i ヽ、ヽ ヽ、 ヽ. l/ | l、 i ト、ヽ. \ lヽ. ! / 卜、 \ l l l \ ヽ、i l i l i l lヽ、ヽ、!j l ヽ.__`_‐ 二ニ=- l !l ! ヽ ヽ、\丶、`ニ=‐、'´ l | i l |ヽ.ヽ、l\_二、\_!`ヽj_ヽ、l / /! / l ト、ヽ| lT:::::lヽ、_ゝ l::::::「| |/ // / Vヽ.ヽj ゙┴' ヽ-'" レ'/ / \ト、 U ノ'´/ ほら、人見知りしてないで。 Vヽ、 __  ̄ __,.-‐イレ'′ ちゃんと挨拶しろ。 >゙フ弌´ゝ、`^′ /`l'〉::lY´ l`ヽ、 / / |l::|| i ! 316 :24/24:10/11/29 00:18:48 ID:a+c7yv+Z _, -―-、_ // \`ヽ /´ / / l ヽ丶 l_ /{ i-‐'{ !`!‐--} ハi;;;ヽ 初めましてなのです。 |;ヽ、N'\/ソl丿ソ }l;;;;;| ボクの名前は―― {;;;;| リ/// ////∠ノ.|;;;/ ヾハ ,ゝ、 tっ__ .イルノ!.イ ノ、/{⌒)⌒}\>、│/| / /.::{}|´|{}´:.:.:.:ヽイ/ | Jr/ .:.:{}|/|{}:.:.:.:.:.::.l`! 八 結論から言うと――その瞬間に私、入速出やる夫は恋をした。 やる夫が一目惚れをしたようです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━ 完 317 :分数 :10/11/29 00:19:14 ID:a+c7yv+Z やる夫がケティに召喚されていた場合のIFルートでした。 【21年後】 _ /:/\ ┌个┐| | .:_| | .:|...:|/:/...:.:|..: : : : : :.:`L..r─┬i \ | └┴┬i::::|==========|: : :// :::...>、 |[]..::[]. 〈〈::::|::::::[]::::.:.:[]..r、]: :.[_[;;::::.} ‐く.:〈 ,、 |. : : : :.: :\:|:::::::::::::::::::::/. : : : : :〉〉 .: ::L└i _ .||_ | : : : : : :、 〉〉/〉::::::;;:::〈 : : : : :〈〈 ::.: :└i:| //\| ::::ト、__ : : :||_'//、п∥::.:l| : : : : 〉〉 工エ::「 /〈. ::〈|-、_/::::::..\r':.|.::[,/T>.:/ロ〃乢.: :: :〈〈 ← 破壊された学院校舎 : :∠7ヘlコ:::|:.:..|-i_::_r√ソ\>へ:| :|:ln| :]:|:П叮  ̄ : :|ェ| .:::::|:.:.|:::..|::::.|\.::::》: :::L;:.::r| .L/∟ロ⊥! ,r'ニニニヾヽ、 \/〈 //ニニニヽ、 やる夫を異世界に無理矢理召喚した奴は誰だお!? ("´ ̄ ̄ヾ)) __〉,ヘ ((/ ̄ ̄`゙`) 召喚主じゃねーお! | 、ィ_ノと)' /"\三/"\ (つ(_,,ア |! 異世界のやる夫を引っ張り込んだ奴だお!! i| ` イ_/ ./((○))三((○))\ _Y |! .ヽ、 ' ( / `゙(__人__)'" \ / ` / PiPiPi(火の精霊と通信中) \ \l i| |! l/ / l|l \ \ 、i|,/⌒ヾ、|!;, / / |l ……水精霊? そいつが諸悪の根源かお!? \ ヾ `ー一'´ ィ / i やる夫の怒りの炎で消し炭にしてやるお!! ヾ、 ``"´ / ゚ |! Y ィ |! 。 ,. ' 、/ ヾ ´ ’ ` ← 結婚式直前に召喚されブチギレてる入速出氏。 ゚, i! `| ゜、l! i|!; ゚ ゜ 。 |: : :.:|: : ::{|/.|;/ (j ゛ ./' ` `ー"/:::| ,|: ::/} : :/ |: : :.:ヽ: ::ヽ、__,, /´ ̄`ー--、, .{:::| |:;/ |:./ そ、そんなつもりじゃなかったのに…… |: : : ::|:ヽ、:.: : : :ヽ`ゝ.、__ ヽ、____:;;ノ j:::| j/ j;/ |: : :.::|::::::::;>-──-、:ヽ >‐-、_ ,.ィ´::::| ← この後、永い眠りに就く事になる |: :.:.::|:;r,'´ r-‐、 \.:.:.| :::::∧:::爪:::.:/|::::::::::| '´ 水の精霊神。 |: ::::;/'´ `~⌒\:.:.:ヽヘ:::ノ:::/ .|:::::::::| ,r‐‐、 |::/{ \:.:.:ヽ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ┬┬、 _,ノ ,/二__ / j \:.:.:ヽ ヘi | |~ r‐-‐' \ `ヽ \:.:.:ヽ } | | メ、 なお、召喚された入速出氏は困難の末に無事、帰郷を果たしましたのでご安心ください。 318 :名無しさん :10/11/29 00:21:12 ID:qPDHsobb エンドレス乙 319 :名無しさん :10/11/29 00:30:45 ID:rWr+kLtw また負けっすかw 320 :名無しさん :10/11/29 00:31:27 ID:bCVa0I9J 乙 ほろっときてしまったぜ 321 :名無しさん :10/11/29 00:42:05 ID:3k6qMR87 乙~ 322 :名無しさん :10/11/29 00:42:30 ID:2ROaWWyq 怒りに任せて校舎ごと召喚主ぬっ殺したのか 乙 323 :名無しさん :10/11/29 00:43:29 ID:3k6qMR87 しかし悪魔(笑)と元凶(笑)が哀れになってきたw 324 :名無しさん :10/11/29 00:52:13 ID:wwSTtoR3 俺としては話題にならない空気(A)のほうが…… ともあれ乙でした。なのはさんまたしても駄目だったかw