『現代合衆国召喚外伝 ダークエルフ特殊部隊』01


 転移後に出会ったダークエルフの諜報能力に目をつけた米軍は、彼等に現代の装備を持たせてさまざまな任務を行ってもらう計画を立案した。そして、それは実行に移された。選ばれたダークエルフは、米陸軍特殊作戦群(グリーンベレー)からの訓練を受けた。教官が驚くほどダークエルフの能力は、高かった。あっと言う間に特殊戦教程を修了してしまった。武器やハイテク機器の取り扱いもすぐに覚えた。こうして、ダークエルフで編成された分隊が一つつくられた。

 一番最初の任務は、ベルトリア王国での情報収集だった。現地のダークエルフによる情報収集が限界だと判断されたために彼等が投入されるこになった。真夜中にUH-60ブラックホークで輸送された。

 指揮官のケネス・カットルは、分隊全員が降りて集合したのを確認すると命令を出す。

「既に潜入している仲間からの情報で、どうもベルトリア王国は、ワイバーンによる米国への空襲を計画しているらしい。その詳しい内容を知るためにこれから、敵のワイバーン飛行場に向かう。」

 返答の代わりに素早く移動を始める。飛行場は、結構広く、簡易発着場とワイバーンの格納庫に竜騎士の宿舎兼司令部がある。飛行場に着くと新たな命令を出す。

「一斑は、周囲警戒を行え。何かあったら無線で知らせろ。二班は、俺と一緒に敵司令部へ潜入する。」

ケネスは、先頭に立って進むと司令部の近くの藪に隠れる。自分の武器のコルトM4A1カービンに取り付けた暗視装置を覗いて様子を見る。

「入り口に歩哨が二人だ。始末する。」

 ダークエルフの一人が建物の周りを巡回している騎士の後ろから気配を消して接近すると口を手で押さえ込みコンバットナイフで喉を掻っ切る。もう一人は、特別にサイレンサーの取り付けられたベレッタから発射された9ミリパラベラム弾を頭に受けた。死体を隠すと司令部へと入る。一階は、司令部で二階は、宿舎になっている筈だ。一階の各部屋を調べていくと三人の騎士が談笑している部屋を見つけた。

「いよいよ、明後日だな。米国とやらの前進基地を襲うのは。」

「敵には、ワイバーンねえんだよな。余裕じゃねえか。」

「しかし、機械飛竜を見たって奴がいるぞ。対空型魔道砲を持ってるかもしれない。」

 大体話しを聞き終えるとケネスは、やれと言う。隊員の持っていたサイレンサー付きのMP5がささやくような音をたてて騎士を撃ち倒した。その部屋を調べると机の上に置かれていた作戦計画書を発見した。

「よし、長居は無用だ。撤退するぞ。」

 分隊は、死体を外へ運び出して隠した。室内の血までていねいに処理した。それを終えるとそのまま闇に消えていった。

 その飛行場では、五名が行方不明になったことに大騒ぎが起きたが迫り来る大作戦のせいでうやむやになった。

 回収された作戦計画書は、米国の手に渡りワイバーンによる米軍前進基地への空襲の全てを知った米空軍は、迅速な戦力の集結を行った。分隊は、その後も現地に留まりワイバーン三百騎が向かったことを知らせると撤退した。

 こうして、準備万端の米空軍にワイバーン三百騎は、全滅させられることとなった。


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