『現代合衆国召喚』10


 米国は、アーリア帝國に対する上陸作戦を実施することとした。その戦力は、護衛として第一混成空母機動部隊と輸送手段としてワスプ級強襲揚陸艦全七隻を参加させる。上陸兵力は、陸軍と海兵隊合わせて約一万四千人。第一波が、橋頭堡を築くと後続を次々と輸送する予定だ。アーリア帝國は、米国のほぼ南に位置している。国土は、横に延びていてその中央に米国侵攻部隊は、上陸する予定である。

 出撃したアーリア帝國侵攻部隊がアーリア帝國沿岸に接近すると地上発射型の対艦型魔法の槍の迎撃を受けたが、護衛のイージス艦のSM-2に全弾撃ち落された。さらにワイバーン二百騎も襲ってきたが、搭載砲とCIWSに迎撃された。米艦隊は、事前攻撃として航空母艦からF/A18ホーネットが発艦すると海岸に集結しているアーリア帝國軍を攻撃した。この攻撃で、かなりの損害をアーリア帝國軍は出した。

 そのまま強襲揚陸艦群は、海岸線に接近すると距離五千メートルの地点でAAV7水陸両用強襲車を発進させる。さらに航空支援としてAV-8BハリアーU、攻撃ヘリAH-1Wスーパーコブラ、AH-64Dアパッチ・ロングボウが発艦した。AAV7水陸両用強襲車は、搭載の重機関銃と40mm擲弾発射機を撃ちまくり海岸に展開していた騎士達をなぎ倒した。AV-8BハリアーUは、敵ワイバーンと対空型魔道砲を攻撃して制空権を確保した。二種類の攻撃ヘリは、アーリア帝國軍を片っ端から攻撃した。アーリア帝國もワイバーンで反撃し激しい戦闘となったが、米国側との火力の差が大きく次第にアーリア帝國軍の反撃は衰えていった。それを確認するとM1エイブラムス戦車、M2/3ブラッドリー歩兵戦闘車、LAV25軽装甲車、ハンビー等の各種戦闘車輛を搭載したLCACが発進して浜に各種戦闘車両を上陸させた。これらは、凄まじい火力を発揮して襲い来るアーリア帝國軍を迎撃した。CH-53Eスーパースタリオン等の輸送ヘリもピストン輸送で兵員を運んだ。

 アーリア帝國軍指揮官は、小高い丘の上から戦闘の状況を見ていたが、絶望を感じ始めた。まず、敵の艦載機械飛竜に攻撃されて散々な目にあったと思ったら敵の輸送船から発進した鉄戦竜に襲われて浜に配置していた兵を壊滅させられてしまった。おまけに敵の小型の艦載機械飛竜と回転翼機械飛竜に遠慮容赦なく攻撃された。これで終わりかと思ったら、今度は敵の鉄戦竜が大量に上陸すると必死に攻撃する味方の兵を次々に倒していった。敵の鉄戦竜は、恐ろしく強くこちらの戦竜のブレス攻撃の直撃を受けても全くダメージを与えられない。このままでは、全滅してしまう。そう考えると全軍に撤退命令を出した。

 敵が撤退すると米軍は、一帯に防衛線を張った。そして、後続部隊を上陸させた。米軍の上陸作戦は、大成功に終わった。大損害を受けたアーリア帝國軍は、内陸へと撤退した。今回の戦闘でスーパーコブラが対空砲火とワイバーンの攻撃で一機が撃墜された。さらに一両のハンビーが、戦竜のブレス攻撃の直撃を受けて破壊された。乗員は、戦死した。転移後の初めての戦死者が出た。対するアーリア帝國軍は、五万五千の兵力と三百騎のワイバーンを失った。

 今後は、じりじりと侵攻し占領地域を米軍は広げていくつもりだ。さらにアーリア帝國は、元々国土の四分の三近くが併合した中小国である。かなり乱暴に併合を行った場合もあり、それらの国は米国にすり寄った。そうでない国も米軍の圧倒的な強さを知りアーリア帝國を裏切り米国の味方に付く場合が多かった。これらは、ほとんどがダークエルフの根回しの成果である。ダークエルフは、様々な面で米国を支援している。


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