『現代合衆国召喚』08


 ベルトリア国王は、アーリア帝國海軍と米国海軍との海戦で、アーリア帝國海軍の勝利を確信していたからこそ今後のアーリア帝國の自国の印象を良くするため、手持ちのワイバーンを全騎投入した。結果は、アーリア帝國海軍の予想外の大敗北に加えて投入したワイバーンを全騎失うといった惨憺たるものだった。さらに米国との休戦条約を破棄されてしまうという、極めつけの凶報を招いてしまった。頼みの綱のアーリア帝國も米国と和平してしまいベルトリア王国など知らん振りだ。事ここに至って、ベルトリア国王の支持をする者は、一部の取り巻きだけとなった。その事を悟った国王は、疑心暗鬼にかられ怪しいと思う者は、片っ端から処刑していった。何とか国王の暴走を止めようと離れずにいた知識人も処刑されてしまった。処刑されなかった者も国王から逃げ出した。最悪の状態になった。軍の指揮命令系統も政府にいた指揮官の処刑等のせいで乱れきった。さらに国境を越えて米軍が侵攻を始めた事態になり、その際の攻撃でもベルトリア王国軍は大損害を被った。

 米地上兵力は、国境を越えて進軍するにあたって空軍に国境に再度集結した約四万のベルトリア王国軍への空爆を要請した。  

 なお、この侵攻が第二次対ベルトリア王国戦争とされた。

 この要請に応えて空軍は、対地攻撃機を多数向かわせた。前回の十万の軍勢に対する空爆と同様の兵力が参加した。猛烈な空爆で約四万のベルトリア王国の軍勢は壊滅した。特にFAEBは、予定数が揃い凄まじい威力を発揮した。王国軍は、跡形も無く吹き飛ばされた。

 これを確認した米陸軍は、侵攻を始める。戦力を集中させて、一本槍となりベルトリア王国に雪崩れ込んだ。その最終目標は、ベルトリア王国の首都である。既に海軍は、航空母艦の艦載機であるF/A18ホーネットで首都の軍事施設を空爆し壊滅させた。イージス艦群も搭載の砲でこの間の外交団の恨みとばかりに港内に停泊していた武装帆船を撃沈した。外交団を輸送した艦から外交団を助けることが出来なかった無念を語られていたからだ。

 陸軍は、途中何度か攻撃を受けたが圧倒的な火力で全くダメージを受けずに難なく撃退した。随伴の攻撃ヘリAH-64Dアパッチ・ロングボウは、凄まじい火力を発揮して待ち伏せを仕掛けようとしていた王国軍を粉砕した。こうなるともう王国軍は、全滅したも同然だった。

 首都に到達した米陸軍は、このまま一気呵成に制圧しようとしたが、その必要が無くなった。怒り狂った民衆に国王とその取り巻きは惨殺されていたからだ。具体的にいうと首を跳ね飛ばされた上に四肢を切断されて、さらにバラバラにされていた。馬鹿な国王のせいで国が滅ぶのを黙って見ているほど民衆は愚かではなかった。米軍を民衆は、迎え入れて代表が交渉にあたった。米軍が要求したことは、以下の通りである。

1、ベルトリア王国は、今回の戦争の全責任を負うこと。
2、外交団の遺族への謝罪及び賠償を行うこと。
3、米国側の戦費を一部支払うこと。
4、米軍の駐留を認めること。
5、王政を破棄し米国主導の議会政治を執り行うこと。
6、一部の領土の割譲と資源の無償供給を米国に行うこと。
7、ダークエルフ及びドワーフへの迫害を止めること。

 民衆は、これを受け入れることとした。というか、他に選択肢など無かった。

 こうして、対ベルトリア王国戦争は終わりを告げた。この出来事は、世界中を駆け巡り米国の強さを知らしめた。

 これにて一件落着かと思ったが、今度は、アーリア帝國がゴネ始めた。元々ベルトリア王国は、自分達の属国で、その領土の支配権は自分達にある等と言い出したのだ。全くもって横暴極まる主張だ。米国からすればあの海戦のことは、無しにしてやってるのだから、この上そんな主張が通るはずもなくその主張を跳ねのけた。すると、またしても戦争だ何だと言い出した。米国は、この聞き分けのない幼児よりたちの悪いアーリア帝國に呆れつつもそんなに戦争が、したいのなら受けて立つと言った。両者の中は、決定的に悪くなった。この後、アーリア帝國は、軍事行動を行う。


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