『第三帝国召喚』05


第三帝国召喚 05






「総統閣下。 我が軍は全軍準備が整いました」

「ふむ、我が国の石油事情の将来的な確保のため、そしてドワーフ族を助けるために…白作戦を開始せよ!」

『ハイル・ヒットラー!』

副総統であるヘスからの言葉を聞いたヒトラーは、連盟国家占領作戦の白作戦を開始させる。
その命令にその場の総ての人が片手を高く上げながら、之から起こる絶対的な戦力の我が軍が負けるはずが無いと疑っていなかった。

ドイツ国よりも南方に位置する国家群(シーバン連盟諸国)には石油が存在することが連盟国からの不当な侵略後に判明し、これを確保する為にあえてドワーフ族解放を理由に中〜小からなる国家群に対し宣戦布告を行う。 ポーランド侵攻の為に集めていた軍集団を再び12月末に再編成し終え、1940年1月1日ドイツ軍は敵国に侵攻を開始したのである。


その編成内容はポーランド侵攻軍とさして変わりが無い。
しかし、敵国家は小〜中国程の規模であり数十の国家間が一斉にドイツとの戦争を支持。
小国でも最低1000人から3000人。 中国でも5000人から15000人以上の兵力を常備されていおり総兵力数(連盟全体で)は10万人と、この世界での列強王国の一方面軍程度しかならないのに対し、ドイツ軍は以下の編成によって数ヶ月以内に敵国家を降伏させる作戦を立案させた。



空軍・陸軍の航空機・戦車による機動戦術による新戦術『雷撃作戦』を主体とした、攻撃案である。
ダークエルフの情報と空軍の偵察機により、敵国家群には至る場所に戦車一両から数両の幅を確保できている道が存在し、その道々は産業・農業・工業都市等と言った国家の経済の収入源や基礎となる場所へと通じている為に、今回の作戦の実行を承認させ以下の軍団を持って侵攻することにした。


北方軍集団 司令官 フェドル・フォン・ボック上級大将

北方軍集団は敵連合体諸国の北方領土(国家群)を担当。
編成内容は2個装甲師団に10個歩兵師団及び、アルベルト・ケッセリング大将率いる一個航空軍(総数600機)

中央方面軍集団 総司令官 ゲルト・フォン・ルントシュテット上級大将

連合国家の総面積(総ての国家を足した場合)の中央部に展開される軍であり、主力軍。
編成内容は3個装甲師団に15個歩兵師団及び、一個航空軍(総数350機)

南方軍集団 司令官 ブィルヘルム・リスト上級大将

編成内容 1個装甲師団に6個歩兵師団及び、一個航空軍(総数200機)
中央軍及び南方軍の航空機数が北方軍集団より少ないが、先に目前の占領地域である北方を掌握すれば、余った師団と航空軍は中央及び南方軍の支援に当たる。

南方軍の初期は中央軍の支援を行いつつ、中央部まで占領した後に、残りの南方まで進出する軍集団。
進出する際に中央方面軍は東西の占領地域の維持と、南方軍集団への支援を行う。


現在のドイツ第三帝国の一個師団の兵力数は各師団により1万〜2万とされている(編成時期や、人員補充もしくは兵器の充足率不足)等によりまちまちであるが、陸軍だけでも最低55万人(補給部隊等を併せると70万人を超える大軍)さらには航空機も持てうる限りの戦力投入が決定されており、総数1150機の他にも予備機も存在し航空兵や整備兵も含めると数万人の規模に膨れ上がった。

今回の侵攻軍には、最初疑問の声が上がっていた。

1、今現在の国家は輸入できる石油や小麦・資材が無いので長期にわたる戦闘行為が出来なくなる恐れ。
2、南方諸国を占領したとしても、そこから得られる資材等は早くても一年は待たないと十分な数が輸入されない。
3、今回の戦力投入は西方諸国に危機感をつのらせる形となる恐れがあり、我が方の望まぬ戦闘の発展になる恐れ。

等が、主な疑問に上がったものである。
しかし、これ等の疑問はヒトラー総統の考えですぐさま解決の糸口が見つかった。


現状の疑問の1に付いてだが、先日我が国と通商条約を結んだ通商同盟国家に大規模な小麦や鉄及び木材等の資材の購入である。
これらの対価はユダヤ人から奪った金銀等といった希少価値の高い物や、ドイツ工芸品や彼らの国々が欲する物を其れ相応に提供するという等価交換である。

通商同盟国家群も最初はこの提案に乗り気ではなかったものの、一挙に中国程の年間予算案の金銀や珍しい工芸品・剣・鎧や果ては民衆の靴や香水・衣服までもそれらの交換対象を見せつけ、彼らもドイツとの貿易は儲かるかもしれないとの意見一致で一挙に大規模な鉄・小麦・その他の資材の輸出を決定した(それらは月々に分担されながら輸出され、最終的には一年を目処に送られてくる予定である)

その後通商同盟国家から、鉄道の供給を求めてきた。
彼ら外交官を乗せて首都までの間に(ドイツの凄さを説明していく内容の一つに)鉄道の利点を説明していき、かなりの物資を運べる事を知った外交官達が本国に報告し、それらの資金や資材は此方が持つから作ってほしいと要請してきたのである。 その分対価として穀物や資源の供給を提示してきたのだから断る理由も無いということで了承した(初期の交渉段階では、50万トンの穀物、他に資材が数十トンぐらいであったが)

以下が、新たに通商同盟から輸入される物である。

200万トンの穀物、80万トンの木材を(年間)主体に(他にも数十トンの資材・資源)今後5年間供給すると言うものである。
総実数が1000万トンの穀物、400万トンの木材であり、月々に分担して送られてくる手はずになっている。
彼らは今まで馬による牽引だったものが、一挙に数十から数百倍にまでも荷が運べれるという点に注目し、是非通商同盟に供給して欲しいと言ってきたのである。
元々が商売による算段が上手い国家群なので、将来への出費と考えれば十分だという考えで対価としてこれ等を提示したのである。


之に対して、ヒトラーは蒸気機関車の供給(手始めに2両と貨物車4両)を決定し、ドイツと通商同盟国家の示した場所にレールを引くための技術者達が送られる事になった。
元々どこからか輸入しないとドイツは経済が運営できなくなる恐れがあるので、通商同盟と之からも良き輸入・輸出国として仲良くしていこうとヒトラーは考えていた。

余談ではあるが東・南・西と戦火を拡大しないためにも、何処かの同盟国家とは戦争は出来ないとヒトラーは考えての結果でもある。



2、早期に占領し諸外国に我が国との戦争は無益だと知らしめること。
そして、彼の国々は一応占領するものの自治領程度と認め、至急鉄道網を作り上げ石油精製施設の完成を目指す。


3、南方諸国に対し侵攻する間及びその後国家の運営が転移前の軌道上に乗り上げるまでは、防衛を一にする。
その為にも、今回の侵攻軍には早期決着をしてもらわないといけない。 早期に数十カ国を占領すれば、最低でも一年は我が国の動静や情報収集に費やすと思われるので、今回の侵攻軍の結果次第で我が国が大国と諸外国が認めるかどうかの瀬戸際であり、無益な戦争も起こらないものとなる(此方が望まぬ時の戦争だけだが)

そして1940年1月1日ドイツ第三帝国は宣戦布告も無しに侵攻され、罪も無い民衆が惨殺された事及び、ドワーフ族解放を理由にシーバン連盟諸国に侵攻。
作戦自体は一ヶ月の準備期間が必要だったので、その間にシーバン連盟諸国も兵力をシーバン王国に召集完了しており、何時でも戦闘可能に待機していたのだが。

だが、中立国経由(この場合は通商同盟)からもたらされた情報に連盟諸国の王達は驚愕した。
『ドイツ第三帝国の連盟諸国への侵攻軍の総兵力約80万人!』と、情報がもたらされ直ぐに国境付近からも地を埋め尽くす大軍の報告が、各連盟国から情報が届いてきておりシーバン王等はその情報を聞き言葉を失ったほどである。

が、上層部の王や司令官・参謀等達が暗雲とした雰囲気に包まれる中、彼らの精鋭飛竜軍300騎の内200騎を前線に展開させている防衛軍に配備しており、彼らは第三帝国が侵攻約10日目に占領した地にて突貫工事で作り上げた仮飛行場より、300機以上のドイツ空軍が出撃。




出撃して数時間が経過し、高度2000mにて進撃中のドイツ空軍よりも約500m上空に無数の機影が見えた。
それらの一騎が旗を振り上げると一斉に残りのワイバーン全騎が、獲物を襲い掛かる狼の如く、水平方向で飛んでいたワイバーンが急降下で襲い掛かっていく。



その大多数の機影を確認した爆撃隊長機の一人が確認し、報告を入れていく。


『2時方向に敵機! 大多数突っ込んでくる!』

「全爆撃機に告ぐ、集団密集隊形にて防御を固めよ!」

―ち! こんな航空性能で、敵と戦えと言うのか!

爆撃機隊長の心の呟きは主に爆撃機の速度性能ではなく、反対に戦闘機の性能による足手まといに対してだった。
彼ら戦闘機・爆撃機の連合隊の出撃情報は既に連盟軍の最前線防衛軍に知らされており、前衛軍は威信を掛けて飛竜軍(ワイバーン)200騎を出撃させたのだ。



「全飛竜戦士諸君! 我らが連盟国家の為に、我らが力を見せ付けるのだ!」

『オオォーーーーーー!!』

飛竜軍の上空からの奇襲は成功した。
今回の出撃が、本当(正式)の意味でのドイツ空軍の初陣であったがゆえに、彼らは奇襲を受けてしまう立場になったのだ。
ドイツ戦爆連合隊に奇襲を掛けた連盟飛竜軍は持てうる限りの力で勇戦を繰り広げ、30分も経たない内にドイツ空軍に苦汁をなめさせる戦闘にまでになった。





『くそ、全機に告ぐ! 燃料の心配なんか忘れて戦闘に集中し、爆撃機隊を護れ!』

『リーダー! 三番機がやられた、畜生!』

『燃料の心配するな? 無理ですよ! もう、今の現状でも基地に帰れるかどうかの瀬戸際だってのに!』

『くそ! 敵の竜は時速300も出していないのに、何て回避能力をもっているんだ!』

『戦闘機隊は、敵の木製らしき槍には気をつけろ! 爆撃機隊は敵の鉄製らしき槍にだ!』

『ああ…爆撃機25・33番機が爆発した!』

『全機隊形を崩すな! 相手の速度は遅いんだ、落ち着いて狙って俺らを護れ戦闘機隊!』

『馬鹿いうな! こっちは失速ギリギリで、お前達
を護っているだけで精一杯なんだぞ!』

―くそ、なんて事だ! まさか俺達の自慢の機体が、こんな惨敗を引き起こしかけているなんて!

少尉の階級を付けている戦闘機パイロットは周囲の敵竜をさがしながら、失速ギリギリで飛んでいた。
味方の無線に耳を傾けながら戦闘を行っているものの、失速ギリギリの機では何の成果もあげることなど余程の事が無い限り無理である。
彼らの乗っている戦闘機はメッサーシュミットの自慢の戦闘機であり、時速も500km/h以上も出すことが可能なのに、彼らは新たに得た敵国の突貫工事によって出来上がった飛行場から約400km先の敵都市を爆撃する為に戦闘機隊が護衛しており、初めての敵のワイバーンとの戦闘で初手から苦戦を強いられていた。

―ち! もう爆撃機は30機以上。 戦闘機も35機以上も落とされた! 相手はブレス攻撃とかいう攻撃しか出来ないと情報が入っていたのに! なんだあの乗り手の放つ槍は!

少尉の今まさに見ている左前方400m付近で竜戦士が片手で数本収納していた箱から、1m近い木製の槍を失速ギリギリで飛んでいる戦闘機に向かって放っていた。 この攻撃は機体に命中しても爆発しないものの、機体が反動で姿勢を崩してしまい一気に地表まで落下してしまう恐れがある。 高速で逃げ切ることも可能だが、高速に入ると航続距離の問題で基地にたどり着けなくなる恐れがあり、満足に爆撃機の護衛の任を果たせない恐れがある為に戦闘機乗り達は、自分の技量を最大限に発揮しながらも逃げ切りながら反撃へと移り変わっていき、ワイバーン合計200騎の内150騎近い敵を何とか打ち落としたものの味方の撃墜は60機近く、損傷を負って帰還したり地表に胴体着陸して逃げれたのが既に90機以上にも上っていた。

ワイバーン乗りの攻撃は、戦闘機相手に使われている槍はまだ爆発しないから助かる確立は高いものの、爆撃機相手には鉄製の様な色をした槍を投げ、命中すると爆発するのである。 爆発する際に光る光景が見えるので、これは一種の魔法か何かの作用で爆発するのだと戦場の航空兵は考えたものの、それの対抗策は今考えているほど暇ではない。

後日判明したことなのだが、この攻撃法はワイバーンの攻撃が近距離しか出来ないのに対して編み出された戦法であり、今までもガルド皇国やニューラン通商同盟との圧倒的な戦力のワイバーン軍に対し、一歩も引かずに勇戦し勝利したことから彼ら連盟飛竜軍の独自の戦法として使われていた。

爆発する鉄製の槍に関しては、小型版の『魔矢』と呼ばれる物で目標に命中後爆発する威力を持ち、対地用としても使われるしワイバーン・ロード用にも多様される代物である。



敵のワイバーンは時速300も出ていなく、本来であれば爆撃機も戦闘機もそれ以上の速度で逃げることも戦えることも出来るのだが、航続距離の問題で彼らは苦戦を強いられており、ワイバーンの乗り手の器量と性能が彼らの考えていた以上に回避能力が高いお陰で、時速ギリギリの速度では射撃も命中することなどなかった。

が…

元々北方軍集団・中央方面軍集団の二個航空軍のユンカース爆撃機200機、メッサーシュミット戦闘機120機の混成航空部隊であり、奇襲だった敵のワイバーン部隊に対し爆撃機隊の密集隊形による対空火器の威力を知らなかったワイバーンに効果があり、ワイバーンVS戦闘機との戦いも今までとは違う一撃離脱戦法だったお陰で戦局はドイツ空軍が勝利したものの、これ以上の爆撃は無理との判断で任務は果たせぬままに終わった。

結局のところ、戦闘には勝ったものの任務を果たせなかったドイツ空軍。
ワイバーン全騎を失った代わりに、任務を果たせたシーバン連盟飛竜軍。

後に、ドイツ空軍の転換期とも呼ばれる日の出来事でもあった。



爆撃機隊は陸軍の支援の為の任についていて遂に果たせなかったが、陸軍の戦車を主体としたグデーリアン将軍の機動戦術により空軍の支援なくとも支障なく敵1万以上の敵兵と敵砲台を破り、爆撃目標の都市を制圧し周辺の小国等は連盟諸国の前衛軍が敗れたことにショックを受け、北方に存在していた連盟国家群は既に北方軍集団の軍隊の多さに守備兵だけでは対抗できなく侵攻直前に降伏していた。

そして彼の国々(北方旧連盟国家群)の仲介で、中央方面軍最前線指揮官であるグデーリアン将軍の軍団に近い近隣諸国は降伏の意を示し、第三帝国に膝を屈した。


その日より数日後、ドイツ第三帝国の総統官邸にて航空隊の損害報告や侵攻状況を聞いていたヒトラー総統に緊急伝がもたらされた。


その発信源は、中央方面軍集団総司令官ゲルト・フォン・ルントシュテット上級大将であり、文面はこう書かれていた。


『本日13:00時 T号戦車、U号戦車約40両ガ撃破。 V号戦車8両撃破…』


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