戦艦 高千穂級 (Takachiho Class、Imperial Japanese Navy Battleship) 〜日本建艦史に残る汚点〜




金剛級の退役と、米高速戦艦(BB61、アイオワ級)の就役が予測されることが重なり合い帝國海軍は決戦に先立ち米巡洋艦部隊を撃破し、米高速戦艦の浸透・後方撹乱を阻止することが出来る艦を欲した。浅間級が後者の任に堪えないのは明らかであり、少なくともBB61級と撃ち合え、主力艦相手でも戦力の吸収ができる程度の性能が要求された。 本級で最重視されたのは35ノットという高速性能であり、そして船渠の都合から基準排水量は45,000トン以内という厳しい制約が付けられた。さらに長門級を上回る、対50口径16インチ防禦、そして50口径16インチ砲10門以上装備という要求に対して艦政本部の導き出した答が史上初のガスタービンと防禦区画を縮小するための四連装砲塔である。 様々な先進技術、重量節減策により、軍令部の要求を満たし、(防禦については一部譲歩をさせたが)一番艦高千穂が竣工したときに『造艦技術史上の奇跡』とまで称えられ、その性能が公表されたときは列強諸国の恐怖の的となった。
しかし、ガスタービン機関は当時の帝國の手に余る代物であり、額面通りの出力が得られず頻発する故障に泣かされ本級の実用的な速力は28ノットにとどまった。のちに二番艦の穂高が機関の爆発事故を起こし、18ヶ月に亘るドック入りを余儀なくされている。 四連装砲塔も無理な小型化が祟ってかたびたび不具合を起こし、特に狭いスペースに備えられた半自動装填装置の故障が目立った。これが原因か四番艦乗鞍は主砲塔の爆発事故を起こしている。
結局本級が水上砲戦戦力として有効な地位を占めるのはガスタービン機関の撤去、主砲塔の取替えが済むユフ戦争開戦後のことである。
また、本級は長門級と異なり大重量砲弾の使用を想定していたが、小型化を余儀なくされた揚弾装置の不具合から長門と同じ通常徹甲弾を使用することとなった。

要目
基準排水量:44,800トン 46,500トン(機関換装後)
全長   :252m
全幅   :33m
兵装   :50口径41センチ砲 四連装二基 連装一基
       65口径12.7センチ砲 連装八基
機関出力:230,000馬力(計画値)200,000馬力(機関換装後)
速力   :35ノット (計画値)33.4ノット(機関換装後)

同型艦 :[高千穂][穂高][磐梯][乗鞍]


注:画像は天翔艦隊様(http://www.d1.dion.ne.jp/~j_kihira/tensyofleet.htm)が公開されているものに猫じゃらしが改変を加えたものです。



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