『実験SS』01


ウミカモメが鳴いている、一度廃墟となったハマの街の近くにその屋敷はあった


『志摩〜あれ?なにしてんの?』
志摩が一枚の紙きれを眺めながら頭を傾げている。余程何かを考えているのか桂の声は聞こえてないようだ
『・・・何故だ?』

どすっ!

『はうっ!?て、桂か・・・』
脇腹に忍び寄った桂が手で突きを入れる、しかもガードできない左側・・・悪質だ 『桂かって・・・なに真剣に考えてるわけ?』
『いや・・・この前、ヴァイスローゼン正規軍が海賊船を拿捕したんだが損傷が激しくて解体された、覚えてるだろう?』
復興には物資が集まる、そしてそれを狙う海賊も
『あの木材は復興においしく使わせてもらったわね』
家屋の材木等に回したりしたのだ船も本望だろう
『そこでミスミがな、こんな物を手に入れてきた』
粗末な紙に書かれた地図である
『なに?いたって普通の曖昧な地図じゃない』
『・・・船の通りがほぼ無い所の暗礁が書かれている』
『え?でもだって海賊でしょ?』
色んな場所に出没するんだから別に知ってても
『帝國海軍の部隊が存在する隣接近海域に、海賊は近寄りもしない・・・それに、この暗礁はレーヴァテイルの測量によって発見された物だ』


『え?』
『以前ターニャというレーヴァテイルの実戦試験の前に彼女が測量した海図を見たことがある・・・肉眼では余程でなければ見つからん』
その意味するところは
『ちょ、ちょっと待ってちょっと待って・・・海賊はレーヴァテイル保護なんて考えてない集団で・・・海軍さんが居るところには近づかないチキンハート・・・何でそんな連中の地図に暗礁の位置g・・・っ!』
桂もたどり着いたようだ
『ありえない、とは思いたい。が、ヘンリー・モーガンの例もある』
『?へんな睾がn『わーっ!!』』
まったく、何てボケかますんだ
『わかってるわよ・・・で、ヘンリー・モーガンて?』
『大英帝国海軍の軍人にしてプライベーティア(私掠海賊船)を統制した男だ』
『ようするに癒着・・・』
『まだ実証が足りない、だが・・・』
『調べたいわけね、危険なのに』
『・・・ああ』
志摩が頷く
『こんな物持ってきたミスミさん虐めるけどいいわけね?』
『おいおい』
『わかってるわよ・・・わかってる・・・制服、出しておくから勝手に行ってきなさいよ!』
『すまんな、桂』

彼等が私利私欲のためにプライベーティアをやっているならば・・・それは安定化の邪魔だ、潰さねばならない


inserted by FC2 system