『唄う海』22


松浦夫妻との会食のあと宛われた部屋で床につく二人、が、まだ寝るには時間があるので五島は本を読んでいる、ニーギはというとごそごそと何か書いている
『ニーギ、何書いてるんだ?』
書いていた紙切れを取り上げる、熱心に書いているようだったが
『キュ!見ちゃダメです!』
ニーギが五島を張り倒す、といってもぽかぽか両手で胸板を叩くだけだが
『うおっ!?おたまじゃくしがいっぱいだ・・・て、音符、読めるのかニーギ!?』
『うん、ちょっとずつ勉強したの・・・ゴトーは?』
恥ずかしそうに顔を赤らめるニーギ
『和音は叩き込まれたが他はからっきし、歌詞、は無いのか』
『キュウ・・・詩の並べ方が難しくて』
レーヴァテイルは、普通、音の高低音をうまく繋げて歌を奏でていた、近頃は、帝國の歌を歌うときに五島や周りの者にまず聴かせてもらって音程を知ってから歌うようにしている
『歌ってくれないか?』『うん!』
大きく息をすう
『〜♪〜〜♪』 五分程たってはたと歌がやむ、どうやら聴きいっていたようだ、それほど素晴らしかった
『あー・・・ちょっと待ってろ即席ですまないが詩を作ってみる』
『ホントに!?』

一時間経過
『書いたが。これでどうかな?』


静寂の闇、揺らぎの中で星の海さえまるで幻

求めても嘆いても
掴めない遠い海に
何かを知るために錨上げ行く
世界分かつ海に耳をすませば
ブレイブニューワールド招く声が響く

そして広い空をふりあおぐとき
ブレイブニューワールドドラマは幕を開ける

交差する新世界、ひかれあう光も闇も
やがて溶けて一つになる・・・
広いこの海が世界をつなぎ、そして生まれる新世界
世界分かつ国と胸襟(むね)を開けば
ブレイブニューワールドドラマは幕を開ける

だから今は迷い払い
今は振り返らずに歩き出そう
続く海へ

腕に力
胸に祈り
風に心散らさないで
君と共に夢を抱いて新世界を共に翔けよう


歌ってみるニーギ
『キュ、二カ所ぐらい語の音程がズレてるよぅ』
『やっぱりバレたか・・・手厳しいなぁ』
『キュ〜でもすごいよ、ありがとう五島。だーい好き!』
喜色満面のニーギが飛びかかってくる
『のわっ』
そのまま布団にぼふっと押し倒される
『やったな、こら』
こつんと倒されたまま胸の所にあるニーギの頭を小突く
『えへへ♪』
ぬぅ。上目づかいが色っp



(中略)




新しい歌とともに新しい朝がやってくる、さぁ駆け出そう、この新世界へ


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