『進メ進メ探検隊進メ』


神州大陸−実際は島だが−、それは最初のフロンティア。
土着する「害獣」を制圧すべく帝國は性急に軍を投入していたが、
その如何なる最前線にも先駆けてひたすら奥地へと進む一隊があった。

従兵が背負った百式火焔放射器から伸びた炎の舌に一舐めされ、体毛に引火した一番手は無様な絶唱と舞踏とを披露した。
それに乗じて隊長自ら突貫した帝國陸軍大佐は三叉戟と大段平との二刀流でたちまちオークの先陣を突き崩し、斬り倒す。
続いて各々が得手とする火器に刀槍、さらには魔術の行使を開始した陸軍・ダークエルフ混成の隊員により、
工場での流れ作業じみた順調さでオークの一群は肉片へと挽き潰されつつあった。
当然だった、この一隊にとってオークは「害獣」どころか肉塊そのものなのだから。

「我々は帝國陸軍糧秣本部特別挺身隊。お前達オークを帝國臣民の糧とする。抵抗は無意味だ」
神州大陸に何よりもまず食糧を求める帝國の、その第一の尖兵として急遽の階級昇進と学位授与を受け、
調査に当たる隊長の目にはオークも貴重な蛋白質資源でしかない事。
改めて己自身と目前の「食肉」に対して帝國陸軍主計大佐、川島四郎農学博士はそれを宣告した。


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