『天の光は全て星』


現人神なる天皇陛下の大御威津に全地上が服する八紘一宇、即ち惑星国家樹立を成し遂げた帝國と、
その惑星自体に、流刑者かつ監視者であるエルフを通じて宗主権を主張する
「恒星天の使徒」こと天使を称する有翼人達、月の「連合王国」が衝突するのは必然であった。

緒戦で帝國の軌道戦艦艦隊を壊滅させて優位に立った連合王国は、
惑星を包む正20面体の頂点として配された大鉄塔群からのテスラ波輻射でマナを励起し、
帯状に集束させて宇宙空間まで投射する「八幡計画」を帝國が完成させ、防護結界と魔力推進を得て、
航空機の延長上程度の機体で半ば相対論的な速度を叩き出す「航宙機」とその母艦艦隊を投入すると、
最終兵器たる「天譴」、月面に穿った巨大な縦坑をそのまま砲腔として放つ戦略隕石弾すら迎撃されるに至り、
ラグランジュ点と小天体を飛び石として迫る帝國軍により追い詰められつつあった。

その帝國軍の主力を成す「義烈航宙空挺隊」、通称「宇宙(そら)の神兵」の多数が、
質量と戦力−既に体力より知力に拠るところが大きいもの−の比が最も効率的とされた、
グレムリン族によって占められていたのは無論である。


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