『終わりなき戦い』


隊員が横薙ぎに払った剣尖で、喉元を切り裂かれた侵入者の一匹は自身の命と血と耳障りな断末魔の絶叫と−
要は汚物と一括りにできる諸々を撒き散らかして絶命した。
この連中本来の、際限なく食って糞を垂れて増えるだけの汚らしい生き様に比べれば、格段に綺麗な死に様と言えよう。

人に非ざる、異質な知性。
その一端と帝國が接触したのは大陸の奥でも深海の底でも天界でも魔界でもなく、自らの研究室だった。
帝國は電子計算機を造り出したのだ。
知性自体としては昆虫にも劣りながら、帝國文明圏の運営に必要不可欠な存在と化している現状を見れば、
その将来性には洋々たるどころか戦々恐々たるものすら感じられよう。

電算機の中でも最大級の一基、信州の山中に据えられた「帝國の頭脳」に侵入を図る者は無論後を絶たない。
そして幾重にも張り巡らされた機械装置と魔道結界がありながらも、
最後の盾となるのは毛深く筋骨隆々たる男達が血と汗とにまみれて揮う軍刀に銃剣、円匙、
さらには棍棒やナイフといった剥き出しの暴力そのものなのだ。

「タイチョー、今日ハコレダケねずみヲ捕リマシタ」
「よーしよしよし、さすがグレムリン保安分隊だ!」


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