『我輩は猫である』


「今日来る新入り、ネコの獣人だって?艦にネコとは船霊様じゃあるまいし」
「艦長は漁師の家の出だからな、案外とその通りかも知れん。
まあ我が帝國海軍が率先して『魔術』の利用に努めているこんなご時世じゃあな……
おっと、艦長だ」
「紹介しよう、今日より本艦に乗り組む−艦長はマケドニア風の姓名を呼んだ−少尉候補生だ」
「本日着任いたました。よ、よろしくお願いいたします……ニャ」
澄んだ声の語尾を緊張の余りに濁した軍人は、可憐な少女と見えた。
背の丸みでさらに一層小柄に見える体は水兵服に包まれ、
そこから伸びる四肢と尻尾は耳を尖り出させた髪と同じに、
茶よりはむしろ金の房が混じった黒い柔毛に覆われて肌の白さをより引き立てる。

「艦長、」我が帝國海軍は何時から女性に門戸を開いたのでしょうか、とは続かなかった。
「うむ!成績の優秀さは無論、少尉候補生は見ての通り船霊の伝統にも適ったミケネコの オ ス という貴重な人材だ!」

解説しよう!
3万匹に1匹と希少なミケネコ♂は基本的に性染色体XXYの個体であり、
過剰なX染色体は体毛を三色とすると同時に♀的な特徴を発現させるのだ!


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