やる夫が異世界で生きるようです 設定 『ハルケギニアの農村における社会階層』 >前作でシエスタ家の手許金というか >即座に使える金額が500エキューだったことが >同じ村長でも雑兵のアーたん家の >年収5000エキューとかとずいぶん違うなあと思ってたけど >シエスタの家は、村内で突出してる豪農ってわけじゃなさそうだね >村長職も持ち回りって言ってるし ①500エキュー ちなみに500エキューは購買力換算でで500~1000万円、感覚的(収入的)には1500~2000万円です。 ……あまり現金を必用としない農村部だから、それ以上かな? ②村長職も持ち回りって言ってるし 「持ち回り」ということからもおわかりのように、この村は村長職を独占できる一強が存在しない村です。 といっても何家かの有力な大農が代々村長補佐役を務め、「その中から持ち回り」という寡占状態ではあります。 (トリステイン、というよりハルケギニアの村の政治体制は、たいがいこの二例のどちらかが当てはまる。) ②シエスタの家は、村内で突出してる豪農ってわけじゃなさそうだね 村の階層は、大きくわけて以下の三つにわけられます。 上位層である有力農層(村の運営) 中位層である自作農層(村の構成員として多少なりとも発言権あり) 下位層である非自作農層(発言権なし) シエスタの家はいちおう上位層ですが、子供が8人というのが非常な負担となっています。 この層になると、衣服や食事だってそれなりのものが要求されます。 衣服代、食事代、教育……バカになりませんよ。 更に家を出す時には、それなりのものを持たせてやらなきゃいけないし…… 正直、このままいけばシエスタの家は家格を維持できなくなるでしょう。 代々務めるの補佐役の返上すらありえます。(務めるのは名誉なことだが、負担が大きい) いわゆる破家(ばか)者ですね。 ~~補足①「教育」~~ この層になると、中農みたいに簡単な「読み書き計算~」じゃすみません。(村役人の家ですしね) ・簡易文ではなく正規の文章の読み書き(※でなきゃ報告書書けない)。 ・簡単な計算ではなく複雑な計算、帳簿作成(※でなきゃ税とれない、報告できない)。 ・法の概念の学習、この地方の慣習の学習(※でなきゃ治められない)。 ・礼儀作法(※立場上、度々偉い人と会うことになる)。 といった本格的な教育が求められるのですよ。 (雑兵物語でやる夫が聞かれた「文は書けるか計算はできるか」というのはこれ。 ぶっちゃけ雑兵やる夫程度の教育では門前払い。) 尤も、跡継ぎとそうでない者では求められるレベルが違いますし、 跡継ぎでも実践教育は家で受けますから、大半は基本的なものとなるでしょうが。 彼等の子供たちは集団で馬車に乗り、一時間前後かけて週何回か郡役場のある町へ行き、そこで学びます。 (その間の「遊ばせる」ことになる馬や付き添いは、当然彼等有力者の自腹) 師匠は多くの場合、役を退いた町役人です。もちろん他の村の子もいます。 ここで学ぶことにより、 ・町役場とのつながり ・周囲の村の(将来の)要人とのつながり ・村だけに留まらない広い見識 が生まれてくる訳です。 ぶっちゃけ同じ村でもこういう教育を受けてますから、言葉使いすら変わってきます。 「悪い言葉を覚えるからあいつらと遊ぶな」 こういう親もいるでしょうね。そしてそう言う理由もより深刻なのです。 (雑兵物語のアーたんはかなり変わってます) まあそんな訳で、実は今回のリンとやる夫も、その仕草と言葉(単なる言葉遣いではない)でバレバレなんですよね。 少なくとも上の方には。(とはいえ、あそこまでの階層とは流石に想像していないでしょうがw) ~~補足②「村役人」~~ 彼等は多少の手当てを貰ってはいるものの、その教育から村の運用経費の一部まで、少なくない額を自腹で負担しています。 自分の家の一部を改修増設して公務専用としたり、専用の人手を雇ったり、村の来客を応対したり等々…… はっきり言って、そろばん勘定では割に合いません。 ですが、村がそういった負担をしているからこそ、国なり領主は村にある程度の自治や慣習による権益を認めているのです。 でなきゃ、乗り込んであれこれ指図することでしょう。 村役人は村では(事実上の)支配者ですが、外部に対しては村の利益の代弁者なのです。 そして彼等がそういった負担を負っているからこそ、村人は彼等に従うのです。