帝國召喚

『帝國情勢』


1、転移直後

 転移時期は1941年12月7日。対米戦直前です。

 転移した地域は日本列島(千島~沖縄)です。
 南樺太・朝鮮・台湾・南洋諸島は含まれていません。
 当然、満州・中国大陸占領地も転移していません。

 不思議な事に、海外の日本人および日本資産も転移しております。
 (※撤去可能なものに限定で土地や建物はNG、ただし工場内の『機械』はOK)
 これらの人々や物は、日本国内各地(空き地など)に出現しました。
 日本国内であっても、外国の人々(植民地の人々も含む)や資産(やはり撤去可能な物)は転移しませんでした。
 きっと今頃はそれぞれの母国に出現しているでしょう。

 ……と言う訳で、帝國軍は全戦力転移済みです。




2、転移直後~ロッシェル戦役直前

 本編開始直前(~昭和18年中旬、ロッシェル戦役直前)までの帝國の動きです。

①S16.12.08
 外地との連絡途絶。
 本土各地で外地派遣軍将兵や海外在留の邦人、海外資産等が見つかる。
          ↓
 政府、外地への渡航を禁止。海外からの転移組から事情聴取、一部隔離も。
これは国民の動揺を抑えるための処置であり、この時点では政府も状況を把握出来ていない。
          ↓
 国民の不安感が増大し、幾つもの噂が流れる。
 特に有力なものが、『ソ連が満州に侵攻して釜山まで占領された。台湾も英米軍に占領された』というもの。

②S16.12.20
 帝國、ダークエルフと政府レベルで接触、交渉開始。
 これ以降、ようやく事態を把握し始める。

③S16.12.23
 政府、今回の不思議現象は『帝國の実験によるもので詳細は国家機密』と発表。

④S16.12.24
 帝國、神州大陸島に侵攻。
 大兵力投入により短期間で沿岸部を制圧、『害獣』は奥地へ逃走。
 神州大陸島への元海外転移組の入植開始。
 この措置は、『食糧確保』『海外からの転移組の居場所確保』のため。

⑤S16.12.30
 帝國、ダークエルフと暫定合意に達する。交渉本格化。

⑥S17.01.03
 政府、連合艦隊を東京湾に集めて一大観艦式を行う。大和の存在公表。
 合わせて大規模な軍の動員解除を発表、100万以上の成年男子の職場復帰を決定。
 これ等一連の措置は、『国民に対する鼓舞』『英米ソとの戦争は無いという証拠を国民に見せる』『人手不足が深刻化』等の理由による。

⑦S17.01.07
 帝國・ダークエルフトップ会談。
 『御聖断』下る。
 ダークエルフ、帝國に臣従。

⑧S17.01.10~ロッシェル戦役直前
 帝國、ダークエルフに領土下賜し、スコットランド王国を建国させる。
 連合艦隊にダークエルフの輸送命令――『いかなる犠牲を払っても、彼等の安全確保に努めよ』――が下る。
          ↓
 連合艦隊、駆逐艦・潜水艦を総動員し、機動部隊の援護下でダークエルフの輸送開始。
 合わせてダークエルフへの武器供与も開始。
 ダークエルフからの薦めに従い、獣人独立派勢力と接触、交渉開始。
          ↓
 今後の帝國の指針である『決号』計画の策定。今回は骨組みとなる基本方針のみ。
          ↓
 資源情報が集まり始める。
 帝國の資源地帯獲得作戦――『決一号』計画――発動。
 帝國、獣人独立派との交渉成立。
 領土下賜し、マケドニア王国を建国させる。ただし、この時点では爵位のみで領土は約束のみ。
          ↓
 大陸辺境部に帝國直轄領と邦国が広がり始める。
 この頃に前後してマケドニア王国が制式に発足。
 限定的とはいえ、海外との交易も始まる。
          ↓
 資源地帯の確保が一段落し、資源地帯の開発と輸送ルートの建設に本腰を入れ始める。
 海上護衛総隊の設立。
          ↓
 大陸での資源採掘が軌道に乗り始める。
          ↓
 帝國、将来を見据えて中央世界進出作戦――『決二号』計画――を発動。
 その最初の獲物としてロッシェル王国を選出。
          ↓
 帝國、ロッシェル王国との『偶発的な』武力衝突から、戦争に突入。後のロッシェル戦役。




3、ロッシェル戦役直前

 緑の線が、昭和17年1月に作成された決一号計画(資源地帯獲得作戦)における最大進出予定ライン。  濃緑の線が、ロッシエル戦役直前の帝國勢力圏。  (但し、ほぼ同一の部位は緑線で代用)  ピンクの線で覆われているのが、ホラズム地方。ただし実際はこれよりも小さい。  赤の×印が帝國本国位置。  茶色の矢印の先にある島が昭北島。  昭北島は、帝國の中央世界進出の足掛かりとなる、元の世界におけるトラック島やハワイ以上の重要拠点。  この後、決二号計画(中央世界進出作戦)が発動され、帝國はロッシェル王国との紛争に突入。本編へ。 4、本編中の帝國国内状況  現在の帝國は、未曾有の好景気の真っ只中にあります。  帝都大開発、神州大陸島開発、資源地帯開発……  膨大な資源に裏付けられた好景気は、上昇の一途です。  現在でこそ開発は本国と一部地域に限定されていますが、その後は大陸の帝國勢力圏全域にまで波及していく筈です。  これ等の開発は今後数十年以上に渡ると見られており、当分は飯の種には不足しないでしょう。  帝國の版図は益々増えていき、 夢は広がる一方です。  ……と、大多数の帝國臣民は考えています。  終わりの見えなかった戦争の終結と大規模な動員解除。  (戦争に慣れ過ぎた臣民にとって、現在の『師団規模での戦闘』など地域紛争程度でしかない)  増え続ける邦國――新聞あたりでは『壱千諸侯』と喧伝――と領土。  まだ誰も知らぬ未知の大陸。  長年の悲願である大資源地帯の確保。  そして当分は続くであろう(と思われる)好景気……  國民は、この『奇跡』に熱狂していたのです。  転移という摩訶不思議な現象も、『奇跡』をもたらした『天佑』として崇めています。  ……しかしその経済実態は、マグロの様に止まった瞬間に死亡するという、自転車操業経済なのです。  これは軍が大陸で活発に活動し、予備の備蓄を食いつぶし続けているせいでしょう。  何しろ予定外の活動ばかりで、これに大量の輸送船やタンカーが割かれていますし、石油消費量も相当なものです。  まあ根本的には、『船が足りない』のですが……  政府首脳部や一部高級官僚、大陸に展開している軍の首脳部は、石油や資源不足に対して大きな危機感を抱いています。  (※彼等は肌で石油不足を実感していますからね……)  しかしその反面、一般大衆は無論、大多数の企業経営者もこの危機に気付いていません。 ……まあ、気付いたらそれこそ大変ですが。  皆、資源地帯の確保により安心しきっていますし、国家備蓄量や需要・供給量なんて国家機密です。  景気の良い話ばかり(資源地帯確保・連戦連勝・帝國壱千諸侯・動員解除・好景気……)ですし、有る意味仕方が無いでしょう。  もちろん気付いている人もいますが、気付く程の人は口をつぐんでいます。

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